耳鳴り

耳鳴りには、伝音性のものと感音性のものがあります。

伝音性の耳鳴りは、外部の音を内耳に伝える外耳と中耳の器官に故障があるときに起こります。外耳道の異物や耳あかによる耳道の閉塞、鼓膜穿孔や炎症、中耳炎、耳硬化症などが原因になります。

一方、感音性の耳鳴りは、音を感じとる内耳、もしくは内耳から大脳の聴覚中枢までの経路に異常を生じたときに起こります。これは、騒音、メニエール病、ヒステリーなどから引き起こされたり、全身性疾患の一症状であったりします。

耳鳴りは、難聴と併発しやすいですが、単独で起こるものも少なくないです。また、両耳が同時のものがあれば、片側だけの耳鳴りもあります。

ツボ療法で効果が期待できるのは、多くの場合、伝音性の耳鳴りです。特に、中耳と上咽頭を連絡している耳管という細い管が狭くなったり、腫れたりしたために生じた耳鳴りや難聴に対しては、ツボ療法がよく効くケースが多いです。

耳管は、中耳に空気を送る管で、それによって鼓膜の外側と内側との気圧バランスが保たれ、鼓膜がピンと張っている訳ですが、耳管からの空気が十分に入ってこないと、鼓膜の張りが弱まり、聞こえが悪くなったり、耳鳴りがしたりします。ツボ療法は、耳管の働きを正常に戻すので、症状が軽減するものだと考えられています。

いずれにしても、耳鳴りは慢性化すると現代医学でも決め手にとなる治療法はないというのが現状で、また、鍼灸治療でも、耳鳴りにピタリと効くツボはなく、体調を調整することに重点が置かれていました。しかし近年、新しい反応点が発見、開発され、そのポイントを治療することで、治療成績が上がったという報告がされています。

ー治療編

◆主要なツボ

後ろ首の「耳鳴り調整点」が特効穴。

「天柱」、「風池」、「百会」、「聴宮」、「角孫」、「頭竅陰」、「翳風」、「耳門」

なども重要なツボです。

「腎兪」、「肓兪」、「太谿」

などもポイントになるツボです。

◆治療法

耳鳴りには、鍼治療がとても効果を示しますが、灸治療、指圧・マッサージも有効であります。

ポイントになるツボは、「天柱」と「風池」を結んだ線を一辺とする逆三角形の頂点に当たる「耳鳴り調整点」であります。耳鳴りを訴える人には、ここを指で押してみると、硬いシコリのあらわれていることが非常に多いです。

ここは、従来の鍼灸治療ではツボの無い場所とされていて、耳鳴りにきわめて深い関係を持つ反応点という意味で、「耳鳴り調整点」と名付けられました。

このツボを解剖学的に見ますと、頭板状筋と頸板状筋の太い2本の筋肉の交差した点にあります。これらの首周囲の筋肉が異常な緊張をすることで、耳管を圧迫して耳鳴りは発症し、鍼灸治療はこれら筋肉の緊張をほぐすことで、耳鳴りに効果を示すのではと考えられます。

「耳鳴り調整点」を治療の後、「天柱」、「風池」、さらに耳周りの「聴宮」、「角孫」、「頭竅陰」、「翳風」、「耳門」などを処置して、「百会」も鍼治療をします。さらに、足の甲の「臨泣」も補助ツボとして用います。

東洋医学では「耳は腎が司る」といって、腎の機能が衰えると、耳の機能も悪くなるといわれています。腎の機能を高める「腎兪」、「肓兪」もツボ治療をします。「太谿」も腎の調子を整えるツボとして治療に欠かせません。

灸治療の場合は、大人ならもぐさを使った灸でよいですが、子供には温灸のほうが適当であります。

上述の「耳鳴り調整点」は、自宅も両親指で押しもみすると効果が上がります。指で押すと耳鳴りの音が変わるので、小さくなったら強く押しもみをして、大きくなったら弱く押しもみすることがコツです。