二日酔い

二日酔いとは、多量のアルコールが体内に入って、それが抜けきれないための二次症状として起こるもので、胸のむかつき、頭痛、頭重、体のだるさような症状があります。

二日酔いの辛さを味わわないためには、二日酔いになるほど酒を飲まないことではありますが、酒飲みには通じにくい論法で、あまり役に立たない助言であります。

江戸時代の学者である貝原益軒は、人間の健康は脾の臓と胃の腑を強くすればいいといっています。ずいぶん大雑把な言い方ですが、脾の臓とは脾臓のことをいい、胃の腑が消化したものは、脾の臓から体内をめぐって体のエネルギーになるという思想が東洋医学あります。

酒もほどほどならいいが、飲み過ぎると、まず胃をやられてしまいます。そして、肝臓を痛めます。これは健康に良いわけがないです。したがって、酒飲みの人には無理な注文かもしれませんが、酒はほろ酔い程度に飲むべきである、ということになります。

二日酔いは時間が経てば徐々に治るものですが、早くスッキリさせて、気分を直したい場合には、ツボ刺激が役に立ちます。

ー鍼灸治療編

◆主要なツボ

頭部 「百会」、「天柱」、「風池
腹部 「巨闕」、「期門」、「中脘」、「天枢
背部 「肝兪」、「胃兪」、「腎兪」、
手  「合谷
足  「足三里」、「三陰交
などがポイントになります。

◆治療法

治療は頭部のツボから始めます。顔の充血をとるためです。次いで、まくらを縦にして患者さんの背骨の下に敷き、両手両足を伸ばして、思いっきり体をそらさせます。そのあと、お腹、脇腹の施術に移ります。この時に患者さんは、口をゆっくり開きながら、お腹の力を抜いてもらいます。「天枢」の処置は丁寧に行います。そうすれば、背中の硬いしこりやみぞおちの吐き気がとれ、気分がよくなってくるはずです。腹部の治療を終えたら背中のまくらを外し、もう一度大きく伸びをしてもらいます。お腹の調子を整えてから、うつぶせになってもらい、背中の治療に入ります。

背中では、「肝兪」が特効穴です。肝臓の機能を正常に戻すことは二日酔いを治す根本的な方法で、ここの処置を行いますと、胸苦しさ、吐き気がとれます。

また、アルコールで胃や腸もダメージを受けますので、消化器系の活力をつけるために、「胃兪」を丁寧に処置します。さらに、体のだるさ、疲労をとるために、「腎兪」も処置します。頭のほてりや頭重感がとれていない場合は、「厥陰兪」と「足三里」を補います。

その他、頭痛、胃腸の調子を整えるために「合谷」、足の冷えや全身の重だるさをとるために「三陰交」も処置します。鍼灸治療が有効です。

◆メモ

〇飲み過ぎたら、足に水をかける

酒を飲み過ぎたら、ぬるめの風呂に入ってお湯から上がるとき、膝から下に水をかけます。水をかけた直後は一時的に血管が収縮しますが、そのあと拡張して血行が盛んになり、アルコールの代謝もよくなり、よいが早く醒めます。だだし、風呂に入ったら眠ってしまわないように注意を!

〇座布団をずらして背中に圧をかける

ストレッチポールなどを縦に置き、その上の背骨がくるように大の字で寝ます。最初は肩の付近に、グーッと体重で圧をかけます。そのあと、背中、腰へと圧を移動させます。圧をかけるとき、3回ほど深呼吸をするといいでしょう。これで、背中のコリが取れて、酔いも早く醒めます。