生理不順

心配事があったり、悩んだり、あるいは予期しなかった事態にぶつかって精神的な衝撃を激しく受けたりすると、女性の生理に異常が起こることがよくあります。

このように、精神的緊張、環境や気候の変化、栄養や睡眠の不足、過労などが影響すると、生理不順は起こりがちになります。これは女性の生理が、左右大脳半球の間にある間脳の働きを受け、ホルモンの分泌がそれによって支配されているために起こる現象であります。間脳は情緒の働きを支配するものでありますが、排卵作用をつかさどる間脳下垂体前葉から出るホルモンも間脳の支配下のあります。このホルモンの分泌が順調でないと、卵巣から卵子は正常に排卵されないことになります。

女性の生理は、4週間に1度、つまり、排卵があってから約2週間後に起こるのが普通であります。だが、ホルモンの分泌が異常になると周期が乱れ、月経がいつ起こるか予測できないことになります。その間隔が20日以下になったり(頻発月経)、2~3ヶ月に一度というようにながくなったり(稀発月経)します。また、生理の回数が多くなったり、無月経といって、半年近く生理が全くないといった現象も起こります。

ときには、排卵時期と無排卵時期がまじることもあり、こうした生理不順に対しては、その原因となっているホルモン分泌の異常を正すことが根本的な治療となります。それには、ツボ治療を行うとともに、体に十分に栄養をつけて、規則正しく睡眠をとるといった、精神・肉体両面の安定に努めることであります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

腰部 「腎兪
臀部 「上髎」、「次髎」、「中髎」、「下髎」、「胞肓
腹部 「気海」、「関元」、「中極
足  「築賓」、「三陰交」、「太谿

などがポイントになります。

◆治療法

生理不順によく効くツボは腰のあたりに集中しています。

治療手順は、「腎兪」、「上髎」、「中髎」、「下髎」、「胞肓」を刺激し、必要に応じて「三焦兪」、「志室」、「命門」を加えます。

「腎兪」は先天の元気をつかさどり、「三焦兪」は後天の元気をつかさどるツボです。

また、「上髎」、「次髎」、「中髎」、「下髎」は、「胞肓」とともにあらゆる婦人科系の病には効果を示すツボとされています。「志室」、「命門」は骨盤内の変調を正す役割をします。

腹部は「気海」、「関元」、「中極」がポイントになります。

足は「築賓」、「三陰交」、「太谿」を刺激して、足の冷えをとります。「復溜」を加えますと、一層効果があります。

灸治療の場合は、米粒大のもぐさを1ヵ所に3壮ずつ、1日おきにすえるといいでしょう。

生理が遅れがちであったり、量が少なかったりする人は、頭の「百会」、背中の「肝兪」、腰の「腎兪」、「次髎」、腹部の「期門」、「関元」、足の「陰陵泉」、「三陰交」に米粒大のもぐさをすえます。

生理が早くなりそうな人、量が多い人は、背中の「脾兪」、腹部の「中脘」、「大巨」、足の「中都」を中心に灸をすえます。

生理不順は、通常2~3カ月以上続けて治療をするのが基本であります。