やせすぎ

やせている人の多くは、体質的に太れないという場合が大部分であります。つまり、これは遺伝的なものといえるので、多少やせていても、長年それで健康で元気に生活していれば、全く心配はいりません。

ただ、一般的にやせすぎの人は、神経質的な傾向が強く、胃下垂や胃アトニーなどの内臓下垂を伴いがちで、胃腸があまり丈夫でない傾向がみられます。問題になるのは、これまでさして変化がなかった体重が、少しずつ減っていく、あるいは急にやせるという場合です。

何らかの原因で下痢が続けば当然やせてきますが、その他の疾患として甲状腺機能の亢進や肝臓の慢性疾患が疑われます。糖尿病も、病期が進むと明らかにやせてきます。この場合は、多尿やのどの渇きを伴います。

慢性胃炎や胃潰瘍でもやせますし、胃の幽門に近い潰瘍で、通過障害のある場合は特に著しくやせてきます。また、中年以降でしたら、一応ガンも疑ってみる必要はあります。

なお極端なものとしては、若い女性がかかりやすい神経性食欲不振症という病気がありますが、これは原因となる悩みを解決すれば治ります。

また、体質的に夏が弱い人は、極端に夏やせすることがありますが、秋になると回復します。秋になっても戻らない場合は要注意であります。

ツボ療法は、日ごろ胃腸が弱く、疲れやすい、気力がない、神経質であるといった人に行うと効果が出ます。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

背中 「肝兪」、「胆兪」、「脾兪
腰  「腎兪」、「大腸兪」、「小腸兪
腹部 「巨闕」、「中脘」、「大巨
足  「足三里」、「地機」、「三陰交」、「太谿」、「湧泉

などがポイントになります。

◆治療法

やせすぎの人には、胃腸を丈夫にし、体力を強め、体調を整える治療を行います。

したがって、第1のポイントは食事をおいしく食べられるように、胃の調子を整えるツボ刺激を行います。それには「肝兪」を刺激します。次に「脾兪」、「胃兪」、「腎兪」にも刺激をします。「脾兪」、「胃兪」は消化機能に働きをよくするツボであり、「腎兪」は活力がつくツボです。

腹部では「巨闕」、「中脘」が重要であります。「巨闕」は慢性胃病を治すのに効果あり、「中脘」、「大巨」も胃腸病の名穴であるとともに、便通異常にもよく効きます。

足では「足三里」、「地機」、「三陰交」、「太谿」、「湧泉」などを処置します。とりわけ、「足三里」、「地機」は胃下垂、胃アトニーの人効果的です。「湧泉」は、家庭でもよくもむ習慣をつけるといいでしょう。

灸治療の場合、各々のツボに米粒大の灸を1ヵ所3~5壮すえます。

◆メモ

やせすぎの人には胃弱の人が多いから、できるだけ消化のいいタンパク質、例えば豆腐、ゆば、白身の魚などを多くとるようにするとよいでしょう。時間をかけて、ゆっくり食べるようにします。

〇やせすぎを改善する手軽な脚力運動

①つま先立ちをします
ゆっくりと完全に、つま先立ちを20回以上行います。

②あおむけに寝て、足を持ち上げます。
あおむけに寝て、ひざを伸ばして、両足同時に床から10~15㎝持ち上げたまま、できるだけ我慢します。

③足を交互に上げます。
膝を伸ばしたまま、片足を床に置いた反対の足と直角にするつもりで、足を上げていきます。それを交互に行います。