捻挫

捻挫は、スポーツ中の障害で、非常に多いものの一つであります。関節に外力が加わって、正常な運動範囲以上の無理な動きを強制されたもので、関節のあるところならどこでも起こりますが、多いのは、足、膝、手の関節であります。

関節の適合性は破綻しないものの、関節包や関節の安定を担う靭帯が切れてしまう重度のものから、単に伸びすぎたものまで、様々な程度のものが含まれています。

靭帯の断裂が高度ですと、手術しないと関節が不安定になって、いつまでも痛みを残します。このような重い捻挫は、痛みや腫れが強いので、早く整形外科医の治療を受ける必要があります。

軽い捻挫では、その関節が痛む程度ですが、ややひどくなりますと、腫れて熱をもって、内出血することがあります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

手首では「陽池」、「陽谷」、「大陵
足では 「血海」、「梁丘
膝では 「犢鼻
足首では「太谿」、「崑崙」、「照海」、「解谿」、「申脈

などであります。

◆治療法

軽い捻挫なら、まずは冷湿布などで患部を冷やして、熱や腫れが引くまで待ちます。冷やすことによって、出血や炎症が止まるので、このときの処置が悪いと、痛みが長引いたり、あとになって痛んだりします。

湿布には、冷水、氷、硝酸水、ホウ酸水などが用いられますが、消炎・鎮痛・吸熱の湿布に用いられるパップ剤の貼布もよく行われています。

特に痛みが激しいときは、冷やすと同時に、その部分の安静が必要なので、副子で関節を臨時的に固定します。

冷湿布はだいたい3~4日、長くても1週間以内にとどめます。その理由は、捻挫で破損した組織から出た血液やリンパ液、組織液は2~3日すると吸収され始めるからです。吸収期に入っても冷やし続けると、その吸収が悪くなり、その結果、血流も悪くなり、患部の修復を遅らせることになります。

したがって、少なくとも1週間過ぎましたら、入浴などして、捻挫した関節を温めたほうが、治癒が早まり、痛みもとれます。この場合は、温浴のほか、ホットパック、パラフィン、電光浴、赤外線などで温めてから、無理にない程度で関節を軽く動かします。痛みのために縮まった筋肉や、固定のためにかたくなった関節をほぐすためであります。

また、関節に入念のマッサージも効果があります。しかし、受傷直後から強いマッサージや無理な運動法は、腫れや痛みを悪化するので、状態や圧痛をよく観察して徐々に行う必要があります。

副子をしているときは、一時、副子を外して温めますが、痛みが楽になるまでは副子は外してはいけません。動かして痛まないようでしたら、副子を外します。

この時期に、鍼灸治療を中心に行うと回復が早まります。患部を中心に、置鍼や単刺術、灸なら、米粒大のもぐさで1日1回、1~2壮すえます。

捻挫した関節はある程度治るまで、治療の後、弾力包帯などで保護する必要があります。そして、できるだけ冷やさないようにして、再び捻挫を起こすような外力が作用しないように努めます。

◆メモ

風呂は、炎症が治まってからでなければ入れません。患部を冷やしている間は入らないほうがいいでしょう。風呂に入れるようになったら、湯船の中で関節を動かしてみます。水中では関節の動きが楽なために、動かしやすいので効果的です。

温める時期になったら、痛む場所に粒鍼などを貼ることも、痛みの緩和に役立ちます。

なお、捻挫を一度でも経験をしたことがある人は、十分に注意して運動を行ってください。捻挫は癖になりがちです。