アキレス腱周囲炎

ふくらはぎには下腿三頭筋といって、腓腹筋とヒラメ筋がありますが、この筋群が一つになってアキレス腱になります。アキレス腱はかかとにあ踵骨に停止していますが、足の裏まで伸びています。

アキレス腱周囲炎は、このアキレス腱とアキレス腱の周囲部が炎症を起こしたものですが、原因は足関節部の疲労、つまり運動のし過ぎであります。

歩くことや走ることは、どのスポーツにとっても基本的な動きなので、アキレス腱周囲炎はどんなスポーツでも起こりうるが、特に足関節部を激しく使う、短距離走、床の上で行うバスケットボールやバレーボール、バトミントン、剣道などで起こりやすいです。スポーツ障害の中では、ジャンパーズニー(跳躍膝)に次いで多いトラブルです。

アキレス腱に炎症があるかの判断は、うつぶせで寝かせてアキレス腱をはさみ込むように指でつまみ、皮膚を上下させるか、親指の腹でアキレス腱を下から上に向かって少しずつ押します。このとき痛みを訴え、同時に皮膚とアキレス腱の間がしっくりと行かずに、ギシギシとした感触が指に伝わってくれば、炎症があると判断できます。炎症がひどいと、アキレス腱のあたりに熱感をもちます。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

下腿三頭筋の後ろ側には、足の太陽膀胱経、内側には足の少陰腎経の経絡があります。この二つの経絡に沿ったツボを使うことになりますが、

膀胱経では上から「承山」、「飛陽」、「崑崙」
腎経では下から順に「太谿」、「復溜」、「築賓」

の合わせて6つのツボがポイントになります。

◆治療法

炎症のあるところは熱感があれば、先ずは冷やす処置を行わなければいけませんが、熱感がなければ鍼を中心とした治療を行います。

足の外側に痛みがあるときは「承山」と「飛陽」の間に、また内側に痛みがあるときは「築賓」と「復溜」の間に、それぞれパルス治療を行います。

そして、「崑崙」と「太谿」に地平刺を行います。この方法は、鍼を真っ直ぐに入れるのではなく、腱に沿って皮膚の下に寝かせるようにして入れます。これは、アキレス腱周囲炎を起こしているときには腱に外傷があるはずなので、腱に鍼を直接刺さないほうがよいからであります。また、鍼を寝かせることによって、刺激が点ではなく線で加えられることになり、それだけ刺激する範囲も広くなるので、効果も高まります。

また、下腿三頭筋のうち、腓腹筋は主として歩いたり走ったりするときに使われるに対し、平目筋はそれ以外に、普通に立って使われる筋肉であります。したがって、平目筋はそれだけ疲れやすくなります。

平目筋の緊張をとるには、外側では「飛陽」、内側では「築賓」が効果が高いツボであります。どちらかに置鍼か単刺術を施すといいでしょう。

◆家庭療法

家庭では、熱感がない場合は、蒸しタオルなどであっためるといいでしょう。熱感があろうとなかろうと、もちろん運動は中止しなければいけませんが、かかとの関節が90度以上曲がらないようにテーピングやサポーターで固定すると治りが早くなります。テープはふくらはぎ辺りから、かかとを通って土踏まずの辺りまで、幅はかかとが固定できるのなら1本にしても2本にしてもいいでしょう。テーピングは、アキレス腱の痛みとギシギシした感じがなくなるまで行います。

また、ヒールのないぺったっとした靴を履いている人は、かかとの高いもののほうが歩くときにアキレス腱が引っ張られないので、厚手のソール等を靴に入れてかかとを高くするといいでしょう。

アキレス腱周囲炎も中途半端な治療で運動をすると再発しやすく、断裂まで起こす可能性があります。十分に休養をして、完全に治すことが大事ですが、完治する前に運動をしなけらばならない時は、翌日までに患部の疲れが残らないように、運動した後、鍼や15分くらい入念にマッサージを行います。マッサージの方向は上からでも下からでもよいでしょう。