ゴルフ腰痛

日頃体を動かさない人が急にゴルフをやったときに、腰の筋肉を痛めた症状がゴルフ腰痛であります。ゴルフは、あらかじめトレーニングをしたり、直前に準備運動をしたりする人はめったにいなく、そのためにゴルフは腰を痛める人が多いのであります。

ゴルフ腰痛の場合は、腰の回転の良し悪しで痛む場所が異なるというのが特徴です。

例えば、高齢の人や太っている人は、腰を回そうにもうまく回らないので、腰を押し出すように回そうとします。したがって、右利きなら右の腰、左利きなら左の腰を痛めやすいです。

若い人やスリムな体型の人は、日ごろ運動をしなくても、ある程度腰の回転はするので、腰の筋肉にねじれの動きが加わります。この場合、ねじれは利き腕と反対側で強く引くので、右利きなら左腰、左利きなら右の腰を痛めます。

痛む筋肉は腰の中央の辺りにある腰方形筋とわきのほうにある外斜角筋がほとんどであります。ただ、単なる筋肉痛だけでなく、骨と骨のつなぎ目である椎間板に故障が出ていることもあるので、その見極めも必要になります。

40代後半あたりからは多かれ少なかれ腰椎に変形が出てくるものですが、それがゴルフをきっかけにしてひどくなったり、筋肉痛が加わって痛みが増強したりすることがあります。変形性腰痛症や椎間板症のある場合には、尻や足まで痛みが及んだり、しびれや麻痺したりするので、このような症状が出たら単なる筋肉と考えないほうがいいでしょう。

若くても、いきなり腰をひねったり、ゴルフのプレー後に重いものをもったりするとギックリ腰になることもありますし、ボールを打ち過ぎて椎間板ヘルニアを起こすこともあります。

ゴルフ腰痛の治療は、単なる筋肉痛を対象にしますが、普段痛みはないが、ゴルフをした後にやたら痛くなった場合は、単なる筋肉痛と考えてもいいでしょう。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

腰方形筋に痛みがある場合は、足の太陽膀胱経の「腎兪」、「志室」、ツボではないですが、腸骨稜の一番高いところに腰方形筋が内側に斜めに付着しているのでその高いところか、あるいは少し下がったところにある奇穴の「腰眼」を使います。

外腹斜筋に痛みがある場合は、足の少陽胆経の「京門」と「帯脈」を使います。

脊柱起立筋の緊張が強い場合は、足の太陽膀胱経の「腎兪」、「大腸兪」、「小腸兪」を使います。

◆治療法

ゴルフ腰痛の場合、左右どちらか一方の腰が痛むのが普通ですが、腰方形筋にしても外腹斜筋にしても左右対称についており、しかも痛みの出ない側も相当使っているはずなので、痛む側より幾分軽い刺激を反対側の筋肉にも加えたほうがいいでしょう。

例えば、右の腰方形筋が痛いときは、右の「腰眼」と「腎兪」か「志室」の間にパルスをかけて、左の「腰眼」と「腎兪」か「志室」に置鍼か単刺術を行います。

右の外腹斜筋に痛みがあるときは、右の「京門」と「帯脈」の間にパルスをかけて、左の「京門」と「帯脈」に置鍼か単刺術を行います。

また、右の脊柱起立筋が痛みがあるときは、右の「腎兪」、「小腸兪」、「大腸兪」の中二つを選択してパルスをして、左の同じツボに置鍼か単刺術を行います。

どこに痛みがあるのかは、ゆっくりとゴルフスイングと同じ動作をしてもらって確認します。

〇ゴルフ腰痛の家庭での養生

腰痛は、重い頭を支えて二本足で立って歩く人間にとっては宿命ともいえますが、日常生活を改善しないと痛みは早く取れないし、再発もしやすいものです。

腰が痛いときは、痛みのある側を上にして横向きになり、エビのように背中や足を丸めて寝ると楽です。布団から起き上がるときは、急に起き上がるのではなく、軽い体操やストレッチをしてからゆっくり立ち上がります。

腰や背中、お腹の体幹を鍛えるために普段から体操をするのはとてもいいもですが、自己流だとかえって腰を痛めることがあります。信用できるトレーナや本などを参考にしましょう。

また、ゴルフのように腰の筋肉の使い方がアンバランスなスポーツを楽しんだ後は、使わなかった側の筋肉も十分動かしておくことが大事になります。