のどの痛み

のどの痛みはいろいろな原因で起こります。いわゆる〝のど風邪〟の状態になるのが急性咽頭炎であります。

風邪の症状の一つで、咽頭の乾燥感、異常感、空咳などがあり、ものを飲み込むときに痛みを覚えることもあります。

乾燥した空気を吸う、強い酒の飲みすぎ、タバコの吸い過ぎでも起こります。

咽頭炎の場合は、喉頭炎も引き続き起こるか、もしくは同時に起こります。この場合は声がかすれたり、出なくなったりするような症状も加わります。慢性になりますと、喉頭部に異物感、かゆい感じがします。

一方、のどの痛みが特に強くなるのは急性扁桃炎であります。高熱が出て、寒気がして、ふるえがきて、頭痛、関節痛も強く、全身の倦怠感はあります。

つばを飲み込むときにのどが痛くなるのも特徴であります。急性扁桃炎をしばしば繰り返していると、慢性扁桃炎に移行する度合いも高くなります。しかも腎炎やリウマチ熱、関節リウマチ、心臓疾患も併発しやすいので、注意する必要があります。

このほか、のどが痛くなる病気には、喉頭結核、ジフテリア、喉頭がんなどもあります。なかには、むち打ち症など首の異常が原因のものや、三叉神経痛、自律神経失調症によるものもあります。

ツボ療法によって効果を示すのどの痛みは、自律神経失調が原因である場合、とくに心身症や神経症などからくるものに効果があります。また、扁桃炎などの炎症性のものは、鍼灸治療でのどの痛みが軽減し、全身症状もよくなります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

喉  「天突」、「気舎」、「水突」、「人迎
首  「天窓」、「天鼎」、「風池
耳  「翳風
背中 「天髎」、「肩井」、「身柱
手  「合谷」、「曲池」、「孔最

など。

◆治療法

「天突」、「気舎」、「水突」、「人迎」などのツボを刺激します。特に「天突」は、扁桃炎でのどの腫れが悪化し、のどがふさがるような場合によく効くツボで、昔はのどが痛いというと、この「天突」と「合谷」に鍼を刺して痛みをとりました。とりわけ、三稜鍼という先が三角形に尖った鍼で少し瀉血しますと、非常によく効きます。

のどのツボを治療したら、「天窓」、「天鼎」、「翳風」を刺激します。

さらに、「風池」、「天柱」、背中の「天髎」、「肩井」、「身柱」、最後に手の「合谷」、「曲池」、「孔最」を刺激します。

慢性の扁桃炎に悩んでいる人には、「合谷」と「孔最」に鍼灸治療を行いますと、非常に有効であります。

ところで、更年期前後の女性に多いのですが、「のどに異物感がある」、「ものが飲みにくい」という症状を訴えることがあります。これは神経症によるものであります。

この場合は、「百会」、「天柱」、「風池」をしっかり刺激し、「天突」を刺激します。次に「膻中」、「合谷」、「尺沢」、「三陰交」を刺激します。いずれのツボも神経症状をやわらげる働きがあります。

◆メモ

治療はまず首の緊張をとるために、あおむけに寝た状態で行います。このとき、高い枕は外して、十分に首をリラックスさせることがポイントであります。

◆声がかれる場合に

声がれは、風邪の炎症によって出た分泌物や、声帯の腫れなどで起こることが多いかと思います。

声がれの時は、のどぼとけの外側の「水突」が特効穴です。このツボを指ではさむようにして指圧します。軽く刺激することがコツです。家庭療法では、楊枝を20本ほど束ねて、軽くポンポンと叩くように刺激します。

また、声は肺と深い関係のあることから、背中の「肺兪」、胸の「中府」、腕の「孔最」を指圧して、肺の機能を整えます。最後に、腹の「肓兪」を刺激して、体の活力を高めます。

声がれの場合、ツボ療法とあわせて、声を使わない沈黙療法と、うがいを行うことも重要であります。