ひざの痛み(変形性膝関節症)

中高年になると、多くの人がひざの痛みを訴えるようになります。道が長い距離なると痛みで歩けない、正座ができない、などのひざの問題が増える傾向があります。このような中高年に見られる膝関節の故障の一つが、変形性膝関節症です。

変形性膝関節症は一種の老化現象で、膝関節をつくっている大腿骨と脛骨のかみ合わせ面のクッションの役割をしている軟骨の一部がはがれ、骨と骨が触れ合って炎症が起こったり、関節のへりに骨のとげが形成されたりすることで、痛みが生じるようになります。

それに加えて、関節の周りを包み込んでいる関節包と呼ばれる部分の内面の滑膜や、関節を取り巻くように補強している靭帯の弾力性や柔軟性が失われてくるため、ひざの動きが悪くなります。

こうしたひざの痛みと動作制限は、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)を衰えさせ、瘦せさせます。そして、腰はまっすぐに伸びなくなり、歩く姿は尻が落ち、そして、ひざがくの字のように折れて、ヨタヨタといかにも心もとない感じに見えます。したがって、ひざが十分に動かない、動かせない、それでさらに悪化して痛みがくるという負のスパイラルになります。

変形性膝関節症の初期の症状は、ひざの重だるさですが、その後に、冷え、むくみ、鈍い痛みなどの症状がみられて、曲げ伸ばしのときに痛みが強く、音がガリガリするようになります。やがて関節に水がたまり、膝のお皿(膝蓋骨)が分からなくなるほど腫れ、正座が困難になります。軽度の場合は、立つときや座るとき、歩き始め、階段の上り下り、特に下りるときに、ひざの内側に痛みを訴えるようになります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

足 「委中」、「承山」、「足三里」、「梁丘」、「血海」、「湧泉
膝 「犢鼻」、「内膝眼」、「外膝眼
腰 「腎兪」、「志室」、「帯脈」、「大腸兪

などがポイントになります。

灸治療では膝のすぐ下「犢鼻」、膝の裏の「委中」が重要なツボであります。

「内膝眼」は膝の痛みによく効くだけでなく、水がたまっているような膝関節症でもこのツボを処置しますと、水がひいてとても楽になることが多い特効穴であります。

スポーツなどで膝を変にねじって痛めることがありますが、その場合に発症しやすい膝の外側の痛みは、「外膝眼」を施術します。

老化現象によるものは膝の内側に痛みがあるから「内膝眼」を、ねじったときの痛みにたいしては「外膝眼」を刺激しますと、よい効果が得られます。

変形性膝関節症は、少し経過が長くなります、太もも全体が重だるく、同時に腰にまで痛みが及ぶことがあります。その場合は、大腿四頭筋の外へりの「外膝眼」、「梁丘」、「伏兎」、内へりの「内膝眼」、「血海」などを膝から股関節に向かって施術します。加えて、「志室」、「腎兪」、「大腸兪」に施術します。「腎兪」は腰痛を取り除くのに欠かせないツボであります。

膝関節の痛みは、筋力の低下とともに、多くの場合は太り過ぎも絡んでいますから、痛みを和らげる治療の他に、体重の減量や筋力向上が大事になります。