風邪

日本人は1年に平均5~6回は風邪をひくといわれるほどで、「風邪くらいで医者にかかるなんて…」と軽んじられる反面、妙にこじらせると思わぬ病気を併発させる、油断できない一面を持っています。いずれにせよ、症状が軽いうちに手軽に治すことができればいいわけであります。

ふつう、風邪といわれるのは、外気の寒さ、冷え、湿気などによって起こる軽い呼吸器症状で、重症化すると、気管支炎や肺炎などになり、この段階に至りますと、専門医に任せる以外ありません。また、インフルエンザのようなウィルスによる風邪も、ここでは別にします。

鼻風邪、のど風邪の段階で、熱も高くないような症状にツボ療法を応用して悪化を防ぐことが肝要になります。

東洋医学では、病気は外からの邪気が体内に入って起こるものと考えています。風邪の場合は、文字通り「風の邪気」が体に入り悪さをして、頭痛や発熱、せきなどの症状をもたらすとされています。

東洋医学では、常に体の全体的な調整を行い、体内の治癒力をうながし、邪気を除くことに重点を置いた治療だけに、薬を使わず、気持ちよく体が回復します。

―治療編

◆主要なツボ

首  「風府」、「風池
背中 「大椎」、「大序」、「風門」、「肺兪
のど 「天突
胸部 「中府
腕  「孔最」、「合谷

◆治療法

風の邪気は最初に背中の「風門」から体に入り、それが後頭部の「風池」に溜まり、さらにその上の「風府」に集まります。そして、これが頭の中に入り、体の節々まで及んで、いわゆる風邪の諸症状を引き起こす、と東洋医学では考えています。

したがって、まずこの三つのツボを治療を治療することから始めます。それらのツボに加えて、風邪の諸症状に絶対欠かせないのが「肺兪」の刺激であります。その他に、「大椎」や「大杼」も加えるといいです。

胸部では、「中府」が特効穴であります。「中府」は肺経の募穴となっていて、呼吸器を病んだとき、色々な症状がこのツボに集まるとされています。

腕では、「孔最」が特効穴であります。「孔最」は肺の郄穴で、風邪の邪気が最も集まるところとされ、のどの痛み、せき、たんなどの症状を取り除くのによく効くツボであります。合わせて、のどの痛みや食欲不振を解消するために「合谷」を使用します。

なお、咳が出て苦しいときは、のど仏の下の「天突」、胸では「兪府」、「或中」、「中府」などを中心に刺激をします。特に「天突」は、発作的なせきを抑えるのに効き目があります。

風邪で頭痛、頭重があるときには、「百会」、「風池」をよく刺激します。肩こりを伴う場合には「肩井」、「曲垣」をポイントに、鼻づまりには、目の下の「四白」をポイントにツボ刺激を行います。