正常な夫婦生活を続けながら、2年以上子供のできない状態を不妊症といいます。不妊症の原因は女性側ばかりにあるとは限らず、むしろ、男性側の原因が、不妊の原因の40~60%を占めるともいわれています。
男性側に不妊の原因がある場合は、大部分が精液の異常で、精子の形成障害、運動障害、遺伝子異常、精子の通路になっている部分の障害、性交障害などがその原因の主なものであります。
女性側の原因は、
①排卵障害
②卵管の異常
③子宮の発育異常
などであります。
①は排卵のないもの、あっても回数の少ないもの、卵巣に異常のあるもの、卵巣の機能を調整するホルモン系に異常がある場合などであります。
②のうち最も多いのは、卵管の通過障害で、原因のほとんどが炎症による内腔の閉塞や分泌がたまったためにできた腫瘍です。
③は、受精卵が着床し、発育するところなので、特に結核菌などによる子宮内膜の異常、卵巣ホルモンの異常による子宮の発育不全、子宮の腫瘍などが主な原因になります。
その他に、糖尿病、バセドウ氏病、ダイエットなどでの栄養障害、精神的なストレスなども影響します。
ともかく、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科などで専門医に診てもらい、不妊の原因を突き止めることが先決であります。何か器質的な障害がある場合には、意志の適切な治療を受けることが第一であります。
鍼灸治療は、体の機能を調整し、円滑にすることを重点に置きます。
ー妊娠治療
◆主要なツボ
背中 「膈兪」、「肝兪」、「脾兪」
腰や臀部 「腎兪」、「次髎」、「中髎」、「膀胱兪」、「胞肓」
腹部 「中脘」、「肓兪」、「気海」、「中極」
足 「曲泉」、「陰陵泉」、「三陰交」、「復溜」、「太谿」、「太衝」
など
◆治療法
上記のツボにマッサージや指圧を行ってもよいですが、鍼や灸治療のほうが効果を示します。灸の場合は、それぞれのツボから選択して、1日1回、米粒大または半米粒大のもぐさを1ヶ所に3~5壮ずつすえます。5日間連続すえて、2日休むという方法で長期的に行います。
女性で、生理が早くなりがちな人や日数が1週間以上に及ぶ人は、すねの内側の「中都」を加えます。ひどい冷え性であれば、足の裏の「湧泉」に治療を加えますと、効果がてきめんです。
妊娠治療には、ショウガ灸も効果があります。ショウガは直径2.5㎝、厚さ0.5㎝のひねショウガをツボの上に置き、灸をのせて火をつけます。
鍼治療は、腰のツボを中心に刺激します。不妊症の人は腎経や肝経の経絡に痛みなどの反応があることが多いです。したがって、それらの経絡上のツボから選んで治療を行うと、効果が期待できます。