後頭神経痛は、後ろ頭から後ろ首、耳から下あごにかけて、ピリピリと皮膚が引きつるように痛むもので、いわゆる後ろ頭の痛みとは違います。
こういった症状の中で、髪の毛を軽くなでたときにチカチカと痛みがあれば、頭の皮膚の神経機能が高ぶっている証拠であり、頭の中がズキズキ痛むのは、心臓から出た血液の流れがうまく頭に循環していないためであります。つまり、血液が多く流れ過ぎれば充血性の頭痛が起こり、流れがスムーズでないとうっ血性や貧血性の頭痛が起きます。
後頭神経には、大後頭神経と小後頭神経の二つがあります。大後頭神経は、後ろ頭の真ん中にある小さな隆起の外方を通って、頭のてっぺんに走り、小後頭神経は、大後頭神経の外方を通り、ちょうど耳の後ろを走ります。
痛みが後頭から頭頂に走るときは大後頭神経痛であり、後頭から耳にかけて痛むときは小後頭神経痛であります。髪の毛に触ると余計に痛みが増す場合は後頭神経痛であり、頭痛と区別することができます。
-鍼灸治療編
◆主要なツボ
頭 「百会」
後ろ首 「天柱」、「風池」、「完骨」
などが重要なツボです。
また、
後頭部 「風府」
前額両側 「頷厭」
手 「合谷」
も後頭神経痛には欠かせません。
◆治療法
上記のツボへ施術します。その際、患者は息をゆっくりと吐き、引き続きゆっくりと吸い込むようにして、術者は、患者が息を吐いたときに刺激を加え(鍼で雀啄など)、吸ったときに刺激を緩める(手技をやめる)ようにすると、より効果的であります。
慢性の後頭神経痛に悩んでいる人には、それぞれのツボに対する灸治療が効果的です。
ショウガやニンニクを薄切りにして、その上からもぐさをすえる無痕灸も適しています。頭に無痕灸や知熱灸で行う場合には、髪の毛をかき分けて、灸をすえるようにします。
頭痛発作の軽減を図るために、「曲池」、「外関」、「合谷」を施術します。
肩こりを伴う場合には、「肩井」、「曲垣」、「身柱」にも施術を加えますと、さらに効果は増します。
いずれの場合も、治療が終わったら、効果を持続させるためにマグレインなどの粒鍼や置き鍼をツボに貼りつけるとよいでしょう。
粒鍼は、鍼や灸の効果を持続させる目的や、過敏体質で鍼や灸のできない人に用いる、鍼灸治療の特殊な方法であります。
人の体には圧反射作用という働きがあります。皮膚に貼った粒鍼による持続的な圧迫刺激は、自律神経の反射を引き起こし、血管や神経の興奮を抑え、その結果、鎮痛効果を発揮します。
粒鍼の効果は、一度貼ると3日くらい持続します。3日経ったら粒鍼をとり、その周辺をもう一度押します。同じ場所がズーンと響けば張り直し、位置がずれていれば、その場所に貼り替えます。再び3日間そのままにします。
後頭神経痛は気長に治療を行います。なお、低周波の頭部通電、超短波療法などもきわめて有効であります。