美しい髪は女性美の象徴といわれていた時代もありますが、十人十色といわれるように、髪も人それぞれに性質や状態が違います。
例えば、乾性毛、中性毛(健康毛)、脂性毛などがあります。また同じ日本人でも、黒い毛、赤毛、亜麻色の別があり、太い毛、細い毛、硬毛、軟毛、曲毛、直毛などがあります。これらの違いから、パーマのかかりよい毛。かかりにくい毛、セットの持ちがいい毛、持ちの悪い毛に分かれるわけであります。
大体、毛は表面がうろこ状になっています。そしてこれが開き加減なのを吸水性、かたく閉じているものを撥水性といって、パーマや毛染めで時間の加減をする目安にします。髪の毛は意外に強くて、1本の毛を根元から引き抜くには約50gの力が必要といわれています。
一般に頭髪は、女性ホルモンによって支配されています。つまり、女性ホルモンが活発になりますと髪は太くなり、逆に男性ホルモンの働き盛んになりますと、髪は細く抜けてしまいます。男性の脂ぎった頭髪が薄く抜けるのはこのためであります。髪が太くて多いのは強情というより、女性的な要素が強いと考えることがあります。
毛髪は1カ月に約1~1.2㎝の速さで伸び、5~6年の周期で抜け変わっています。
髪が痛んだ状態には、内部的な要因と外部的な要因があります。前者は熱病などから脱毛や切れ毛、また艶が失ったり、赤くなったりします。後者にも病気があり、白癬菌やその他の菌などが原因で髪が痛むこともありますが、最も多いのは手入れが悪いことによります。病気が原因であれば、専門医に任せるべきであります。
いずれにしても、毛髪を艶やかにするためには、毛根の栄養を高め、ひいては全身の自律神経機能を調節することに治療の重点を置きます。
-鍼灸治療編
◆主要なツボ
頭 「百会」
首 「翳風」、「天柱」
胸部 「膻中」
腹部 「中脘」、「陰交」、「関元」
腰部 「三焦兪」、「腎兪」
手 「陽池」
足 「太谿」、「湧泉」
などがポイントになります。
◆治療法
「百会」の刺激は、頭の血液循環を改善します。血液循環がよくないと毛髪に必要な栄養が十分に毛乳頭に到達しなくなります。その意味では、ツボだけではなく、頭全体をよくマッサージする必要もあります。
「天柱」、「翳風」などは、首から頭へ向かう血管の通りをよくします。
「三焦兪」と「腎兪」の二つのツボは「先天の元気、後天の元気」といわれて、全身を豊かにして、髪の毛の艶を取り戻す大切なツボです。ここは特に灸治療は効果があります。
「膻中」、「中脘」、「陰交」、「関元」などは、体質・体力を強め、髪の毛の艶を高めるツボです。また、足の「太谿」も同様の効果を強めるツボであります。
東洋医学では、腎経の乱れを正し、働きを高めることによって、造髪能力が増し、髪が艶やかになるという考え方もするので、具体的なツボとして足の裏の「湧泉」も重視します。だいたい腎経に異常のある人はこのツボに強い痛みを感じ、柔らかさに欠けます。したがって、「湧泉」を施術することは美髪づくりに大変役立ちます。
◆メモ
美髪をつくるのに、家庭では頭のツボを中心に、両手指先で軽くリズミカルに、やや強めに叩く方法があります。