ぎっくり腰(急性腰痛)

ぎっくり腰は、ちょっとした動作がきっかけとなって起こります。朝、顔を洗おうとして腰をかがめる、何気なくものを持ち上げようとしたとき、ちょっと咳をしたときなど、突然激しい痛みが腰に走り、ときには立っていられない状態になります。

西洋ではぎっくり腰を「魔女の一突き」と表現されるのは言い得て妙であります。症状が慢性化しますと、腰痛をたびたび繰り返して、腰やお尻、足に鈍い痛みが続くようになります。

ぎっくり腰の原因は様々ですが、最も多いのは、中年過ぎに起こる椎間板症や変形性脊椎症などが元で起こる一種の急性病です。つまり、脊椎とそれを取り巻く筋肉や靭帯の老化によるものです。

本来、筋肉や靭帯は体の動きに合わせて収縮・弛緩しますが、年齢とともに弾力性を失います。そのため、姿勢を変えた瞬間などに一過性の炎症が起こり、激痛を伴うのが、ぎっくり腰であります。ときに腰の関節のねんざの場合もあります。

最近は若い人でも運動不足などのためにちょっとした急な動作でぎっくり腰になることも多いです。

痛みが表れるのは、ズボンのベルトの高さにあたる腰椎の4番と5番の間が多いです。その部分の筋肉や靭帯が炎症を起こすと、同時に、背骨に沿って左右の大きな筋肉(脊柱起立筋)が緊張し、痛みが増大します。

ぎっくり腰であれば、ほとんどの場合、適切な手当てを行えば、案外早く回復します。

ー鍼灸治療編

◆主要なツボ

腰・臀部  「三焦兪」、「腎兪」、「大腸兪」、「腰眼
足     「解谿」、「足三里」、「承山

などがあります。

◆治療法

痛むところを手のひらをあて、熱や腫れがないか調べます。熱があれば冷やします。

ベッドにあおむけの姿勢で、両足首の「解谿」を両手の親指の先で左右同時に、やや強く、瞬間的に押します。人によっては強く指圧をしたとたんに腰がピクッと浮くとともに、痛みが取れることがあるくらいぎっくり腰によく効く特効ツボです。加えて、「足三里」、「承山」も指圧や鍼灸などの施術を加えます。

足の治療を終えたら、腰の施術に移ります。

「三焦兪」、「腎兪」、「大腸兪」、「腰眼」に施術します。

上記のツボで、押してみて、痛みがある、気持ちがいいところが、その人のぎっくり腰によく効くポイントです。

「腰眼」はぎっくり腰には重要なツボで、さらに、脇腹の両側にある「帯脈」も有効なツボです。

なお、ぎっくり腰になって時間がそれほど経っていない場合は、熱があることが多いので、冷湿布などで冷やします。ただし、冷やしすぎると血行が悪くなり、症状が悪化しますので、熱感がおさまっている2~3日目以降は患部を必ず温めてください。