五十肩(肩関節周囲炎)

五十肩は、40~50才代に多い肩の痛みで、正確には肩関節周囲炎といい、肩こりとは異なります。関節を形作る靭帯や関節を動かす筋肉が老化とともに柔軟性を失い、肩周囲の血液循環を悪化させ、軟部組織が痛んでいくもので、肩の痛みと肩関節が十分に動かないのが特徴です。

初期は、肩に重だるい痛みを訴える程度でありますが、次第に痛みが強くなり、特に肩関節を動かすと激しい痛みに襲われます。背中に手をのばせなくなったり、髪をとかしたりするなどの行為が、痛みと運動制限で辛い思いをしなければなりません。

日がたつにつれ、痛みは少なくなる半面、肩の筋肉はやせ、肩の周りに押すと強く痛む圧痛点が出てきます。早いものは1~2カ月、普通は半年~1年で痛みが去り、運動障害も徐々にとれますが、長い経過をたどるものでは、肩関節の運動が元に戻らないまま固定化することもあります。

近年は寿命延長により、60才、70才の五十肩も稀ではなくなってきました。

―鍼灸治療編

◆主要なツボ

首  「天柱
肩  「肩髃
背中 「天宗
腰  「腎兪
胸  「中府
腕  「臂臑」、「尺沢

など

◆治療法

東洋医学には寒熱、痛痺といって、冷えれば温めよ、熱があれば冷やせ、痛みがあれば手指で押すか鍼を刺せ、しびれはなでるか灸をせよ、という治療原則があります。

五十肩になりますと肩が冷えるので、肩をホットパック等で温めることも大事になります。

腕を上げると肩先のくぼみのでるところにある「肩髃」を中心に三角筋を、また、後頚部の「天柱」、肩甲骨の「天宗」、胸部の「中府」さらに腰部の「腎兪」などを中心に施術します。「腎兪」は、腕を後ろに回すのに使われる広背筋の腰にあたるツボで、五十肩には重要なツボになります。

腕では「臂臑」を使用します。「臂臑」は腕の外側のツボで、肩から続いている三角筋が終わろうとするところにあります。東洋医学では、「臂」はひじから手首までの前腕を指し、「臂臑」には腕の痛みには効果的なツボとされています。

きゅう治療の場合は、上記のツボから1日1ヶにつき3壮、最低3週間続けます。

五十肩は、慢性期には少々痛くても動かすことが必要になります。アイロン体操などは肩の動きの改善にはよいとされています。