むち打ち症

原因として多いのは交通事故やコンタクト系のスポーツです。追突されたときに、強い衝撃で首が後ろに反り返り、その反動で前の方に首が曲がり、首の骨の靭帯などが必要以上に伸びたり、曲がったりして、首を痛める症状で、むちの先のように首が揺れるような様から「むち打ち症」という名で呼ばれますが、正式には「頸椎捻挫」と称されます。

捻挫とは、関節が一過性に生理的限界よりも強く動いて元に戻った際に、骨と骨とを結んでいる靭帯や、細かく小さな筋肉が一時的に伸びた状態をいいます。靭帯や筋肉が元に戻る間に、熱、腫れ、小さな出血、むくみ、痛みなどが発症します。むち打ち症の場合は、同時に、頭や腕につながる神経(経絡)が影響を受け、首以外にも頭、腕に同じような症状が伴います。

交通事故にあった場合は、なるべく早く整形外科や脳神経外科などの専門医の診断をうけます。どこにどういう損傷を受け、どのくらいの期間でどのような経過をたどるのかを予測してもらうことが大事になります。症状は直後に発症することもありますが、時間が経って発症することもあります。早めの対処が慢性化を防ぎます。強い熱感や腫れがとれたらツボ治療を行いましょう。

いつまでも首が重く、集中力に欠け、頭や目が痛む場合は、むち打ち症になったという心理的な不安から、自律神経失調や心因性疼痛を起こしている場合も少なくないので、心身のコリをほぐす処置も必要になります。

―鍼灸治療編

◆主要なツボ

後ろ頭  「天柱」、「風池」、「完骨
肩    「肩井」、「肩髃
首の根本 「大椎
腕    「曲池」、「尺沢」、「少海」、「内関」、「神門」、「合谷

などが主として使用されます。

◆治療法

症状が慢性化している場合は、灸治療が大変効果があります。特に肩のコリが頑固な場合は、「肩井」、「曲垣」に、頭痛  が続く場合には、「天柱」、「風池」に灸をすえます。手のしびれが頑固に続くようでしたら、「曲池」、「尺沢」、「少海」または「内関」、「神門」「合谷」を使用します。