めまい・立ちくらみ・メニエール症候群

めまいを主症状とする病気といえば、まずあげられるのがメニエール病であります。体のどこにも異常がなかった人が、突然回転性の激しいめまいに襲われ、これがきっかけで難聴になる場合も少なくないです。原因は、内耳のリンパ液の循環障害だとされています。

このように、メニエール病ならば、原因も症状も比較的はっきりしていますが、それ以外のめまいとなりますと、現代医学でもなかなか治療の決め手がなく、〝メニエール病に似た症状〟という意味の「メニエール症候群」という呼び方で一括されています。

そこで、めまいに悩む人たちは、東洋医学の治療に頼るわけですが、経験則から、めまいを訴える患者というのは、症状がめまいだけという例は少なく、めまいに加えて、立ちくらみ、耳鳴りの三つがセットとなっている場合が非常に多いです。

この場合には、原因の背後に血圧の異常か動脈硬化があって、そのために起こるめまいと考えられます。つまり、血液循環が障害された場合におこるのであります。

その中で、とりわけ高血圧症のために起こることが多いと考えられますので、東洋医学的治療では、血液の循環に対する総合的な治療を行うことになります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

頭  「百会」、「頭竅陰」、「翳風
首  「天柱」、「風池」、「完骨
背部 「心兪」、「肝兪」、「腎兪
腹部 「鳩尾」、「中脘」、「肓兪
足  「足三里」、「丘墟
手  「合谷

などが中心になります。

◆治療法

「百会」、「天柱」、「風池」、「完骨」、「頭竅陰」、「翳風」などを刺激します。これらのツボは、血液循環の障害を治療するのに欠かせないツボであり、家庭でもいざというときに指圧すれば、大変役に立ちます。

つづいて、背部、腹部、手足と刺激します。

急性期のめまいの場合は、指圧やマッサージで効果がある場合もありますが、慢性化したものには灸を使用します。「百会」、「風池」、「肩井」、「腎兪」、「肝兪」、「鳩尾」、「手三里」、「足三里」が灸で適当なツボでしょう。半米粒大のもぐさを、1日1回、1ヶ所に3壮ずつすえます。

鍼治療、あるいは鍼麻酔方式のパルス通電でも効果があります。

◆メモ

東洋医学的治療で効果があるのは、高血圧、貧血、多血質などに伴う非典型的なめまいや立ちくらみ、ノイローゼ、過労などから起こる症状に対してです。

メニエール病や薬剤中毒に伴うめまい、あるいは脳血栓や脳腫瘍からの症状の疑いがある場合は、専門医とよく相談をして治療を行ったほうがいいでしょう。

小学生くらいまでの子供のめまい、立ちくらみは刺激量を減らし、必要に応じてマッサージなどの手技で治療を行います。灸ならば、「百会」、「腎兪」、「足三里」に1~2壮すえます。