肋間神経痛

肋間神経は、胸の肋骨に沿って、背中から脇腹を経て胸の前まで走っています。肋間神経痛は、この神経に沿って、胸やお腹に帯状または半環状に、強い痛みが発作的に起こります。

脊椎の病気や肋膜の癒着など、肋間神経痛の起こる原因がはっきりしている場合もありますが、不明の場合も少なくありません。

筋肉からくる胸痛と、肋間神経痛の見分け方は、息を吸うときに痛く、吐くときにには比較的楽になるのが肋間神経痛であります。その痛みは、胸の左側(右側のこともある)、乳の下から脇腹にかけて、更に背中から腹にかけてツーンとくるような痛みが特徴で、呼吸に伴って痛みは感じるのに、肩や腕を動かしても痛くなければ、明らかに肋間神経痛の症状であります。

上記のように、胸痛は他の病気と見分けることが大切で、肋間神経痛だと思い込んでいたら、肋膜炎や狭心症だったという例も少なくありません。

真性の肋間神経痛には、3カ所の特徴のある圧痛点があります。

①背骨のすぐ脇
②わきの下
③胸骨のすぐ脇、または腹直筋のすぐそば

の軽く圧しただけで耐えられないほどの痛みがある点、がそれであります。

これらの三つの圧痛点は、とりもなおさず治療上のポイントになります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

①背骨のすぐ脇
②脇の下
③胸骨のすぐ脇、または腹直筋のすぐそば

の圧痛点が治療点となります。これらの圧痛点の位置は、多くのツボと一致しますが、ツボにこだわらず治療をします。

◆治療法

痛む方の脇腹を上にして横に寝ます。

最初に背骨のすぐ脇の圧痛点をさぐり、各々刺激します。背中の中心が特に痛む場合は、圧痛点の他に「肺兪」、「心兪」、「膈兪」、「肝兪」などを加えて刺激します。

続いて、脇の下に刺激します。脇の下は強く刺激しないように注意します。

次に、胸骨のすぐ脇、または腹直筋のすぐそばの圧痛点を探し、刺激します。胸が強く痛む場合は、「欠盆(缺盆)」、「中府」、「神封」、「膻中」などを、お腹が痛む場合は「幽門」、「肓兪」などを加えます。

最後に、患者を座らせ、両脇の下に腕を差し伸べて静かに深呼吸をさせます。深呼吸に合わせて両脇の下に差し伸べた腕で、胸の上下運動を助け、5~6回行います。静かにゆっくりと痛む神経を伸ばすイメージで行います。

◆メモ

治療の後に痛みの強いところにマグレインなどの粒鍼を貼っておくと、治療効果が持続します。また、ドライヤーなどで温める熱風治療でも、痛みはかなり和らぎます。

肋間神経痛には鍼治療が一番効果があります。上記の圧痛点やツボへ施鍼します。なお、低周波電気療法でも効果はあります。

◆胸がつっかえる場合は…

胸がつっかえる場合、胸苦しくてつっかえるケースとみぞおちがつっかえるケースがあります。

前者の場合は、胸の「膻中」が重要でこのツボを刺激します。次いで、背中の「厥陰兪」、「膏肓」、手の「内関」、「郄門」を刺激します。

後者の場合は、腹部の「鳩尾」、「巨闕」、「不容」、「中脘」、「天枢」を刺激します。背中は「肝兪」、「胆兪」、「脾兪」、「胃兪」、足の「足三里」、「三陰交」を刺激します。指圧でも構いません。

◆背中が痛い場合は…

この場合はどのツボというのではなく、背骨の両側を縦に走っている筋肉を、首のつけ根から臀部まで、丁寧に刺激します。特に痛む個所は念入りに刺激します。

第1胸椎のかたわらにある「大杼」は背中の痛い場合に欠かせないツボであります。ここには必ず刺激します。