腕の神経痛

腕に行く神経は、第4頚椎から第1胸椎の間に発し、わきの下を通り、上腕、前腕を通ります。そして親指に行く橈骨神経、中指に行く正中神経、小指に行く尺骨神経の3本があります。

腕の神経痛とは、こうした神経の経路に沿って、発作的に反復する激しい痛みをいい、神経自体に病理学的な変化を伴わないのが普通であります。すなわち、主として、上腕の後ろから外側、手の甲及び手指の親指側に痛みがあるのが橈骨神経痛であり、主として、上腕から前腕の手のひらの真ん中に向かって走る痛みがあるのが正中神経痛、そして主に前腕の小指側に起こるのが尺骨神経痛です。

腕神経痛は中年以上の人に多く、いわゆる頚腕神経痛の一症状としてあらわれることが多いです。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

橈骨神経痛なら

肩の 「肩髃
上腕の「臂臑
ひじの「曲池
前腕の「手三里」、「温溜」、「陽谿」、「外関

正中神経痛なら

ひじの「曲沢
前腕の「郄門」、「内関

尺骨神経痛なら

ひじの「少海
前腕の「神門

などが効果のあるツボです。

◆治療法

これらの神経痛の場合は、時間があればホットパックや蒸しタオルで首をゆっくりと温めます。腕に行く神経は首の骨から出るので、くびの周囲にある靭帯や筋肉を緩めるのが目的です。

そして、痛む神経の経路にある上記のツボを刺激します。蒸しタオル等で腕を包み、痛む経路に沿って、ヘアドライヤーで温風を送りながらマッサージをしても、痛みはずいぶん治まります。

◆メモ

腕神経痛は頚椎を徒手でけん引するのも効果があります。あおむけで寝させて固定した患者の後頭とあごを支えて、術者の手で首を伸ばします。その他、肩や上肢の軽い徒手体操がいいでしょう。

◆肘内障の場合は…

よちよち歩きから幼稚園児によくみられるもので、ひじの亜脱臼で、俗にいう、手が抜けた状態であります。幼児が母親と手をつないで歩いているときなどに、急にぶら下がったり、飛び出そうとして手を強く引っぱたりしたときに起こりやすいです。

この症状には、徒手矯正法として、次の方法を心得ておくといいでしょう。

まず、子供の前にすわり、痛がる方の手首を片手で外側からはさむように持ち、痛がるひじの内側にもう一方の手の親指の腹を素早く当てて持ち、手首を支えている手で子供のひじを少し曲げながら腕側にひねります。

このとき、ひじをおさえていた親指にブチュッという音が感じられれば、それで治ったことになります。痛むときは、子供はひじを触られるのを嫌がりますので、なるべく早く処置することがポイントです。