胃けいれん(胃神経症)

胃に起こる様々な症状の中でも、特に発作的にくる急激な痛みを胃けいれんといっています。今日では胃神経症といわれていますが、痛み方には、軽いものから激しいショック状態になるものもあります。

胃けいれんの時間も、2~3分から、長い場合になりますと1時間も2時間も、みぞおちから脇腹、へその上にかけて痛み、患者は横になって背を丸め、ひざを曲げて太ももで脇腹をおさえるような格好になり、冷や汗を流して苦しみます。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。けいれんが治まれば、平常に戻ります。

原因は、胆石、胃・十二指腸潰瘍、脳や脊髄の病気、寄生虫、婦人科の疾患など色々あります。また、精神的な要因も見逃せません。

一般に神経質、無力性体質の人に多く、何らかの原因によって胃をめぐる神経が異常に高ぶり、胃の壁をつくる筋肉が収縮したときにけいれんが起こります。

このけいれんが続いた時間、食事時間との関係、痛みの種類、どんなものを吐いたかなどの記録は、診断のよい参考になります。

胃けいれんは、上述のように様々な病気に原因を発していることが多いので、その原因がなんであるかを明らかにすることが重要で、そのためには医師の診察が必要であります。

精神的な要因からくる胃けいれんなら、ツボ刺激は効果があります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

背部 「膈兪」、「肝兪」、「胆兪」、「脾兪」、「胃兪
腹部 「巨闕」、「不容」、「中脘
手  「合谷
足  「足三里」、「三陰交

などが中心となります。

◆治療法

うつぶせで、背中の「膈兪」、「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」を刺激します。背中の緊張もとれます。

次にあおむけで、「巨闕」、「不容」、「中脘」、「鳩尾」を刺激します。

痛みがひどい場合は、無理に腹部の治療を行わず、「胃兪」をしっかりと刺激します。「胃兪」は文字通り、胃に直接効くツボです。

「胃兪」の刺激で楽になったら、腹部の治療を行います。

けいれんが落ち着いたら、手足のツボを治療します。中でも、「合谷」、「足三里」、「三陰交」は重要なツボであります。

◆メモ

胃けいれんの発作時、お腹のツボを施すときは、息を吸い込んだときは刺激しないで、徐々に息を吐きながら刺激し、完全に息を吐き終えたときに少し強めに刺激するのがコツです。このように、患者の呼吸に合わせて刺激しますと、患者にとって爽快な刺激感となります。

胃けいれんは神経質に多いので、リラックスした生活を送るようにアドバイスします。

鍼灸治療は非常に効果的であります。