低血圧

一般に最大血圧が100mmHg以下の場合を低血圧と呼んでいます。

低血圧には、大きく分けて本態性低血圧、二次性低血圧、起立性低血圧の3種類があります。

最も多くみられるのが本態性低血圧で、体質的なものといわれていますが、原因がはっきり分からないものをいいます。背が高くやせ型の人に多く、主な自覚症状は、疲れやすい、飽きっぽい、体がだるい、食欲がない、めまい、耳鳴りがする、手足が冷えやすい、便秘する、生理が不順、寝覚めが悪い、などといったものです。

二次性低血圧というのは、明らかに原因となる病気があるもので、心臓病と胃腸疾患、内分泌の異常、先天的奇形などが挙げられます。

起立性低血圧というのは、寝ているときは正常な血圧なのに、起き上がると急に血圧が下がるものをいいます。やせ形の若い女性によくみられる症状で、めまい、立ちくらみの原因になります。

ツボ療法で効果が期待できるものは、本態性低血圧と起立性低血圧です。しかし、東洋医学的療法は、ここを刺激したら血圧が上がるという考え方ではなく、低血圧に伴ういろいろな症状、あるいは体質を改善していく結果、自然に血圧も正常になるという思考で処置するのがセオリーということを重ねて強調したいです。

二次性低血圧では、原因となっている病気の治療が先決であることは言うまでもないですが、症状に対してツボ療法を応用することはできます。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

基本的なツボとして

頭部 「百会
首  「天柱
背中 「厥陰兪」、「腎兪
胸部 「膻中
腹部 「中脘」、「肓兪」、「大巨
手  「郄門」、「陽池
足  「三陰交」、「照海

などがあります。

◆治療法

頭の血液循環を改善させるために、「百会」、「天柱」などを刺激します。これで頭重やめまいがおさまります。また、体のだるさ、不快な気分もとれます。

腰背部や胸部、腹部では、「厥陰兪」、「腎兪」、「膻中」、「中脘」、「肓兪」、「大巨」、手足では「郄門」、「陽池」、「三陰交」、「照海」などがよく使われますが、手足が冷える場合は、背中の「膈兪」、手の「神門」、足の「陰陵泉」などを加えるといいでしょう。

めまい、立ちくらみ、不眠などのような神経症状がある場合は、「腎兪」、「中脘」、「照海」などの他、背中の「身柱」、手の「曲池」、足の「足三里」、「太谿」なども治療の対象とします。

食欲不振、吐き気、便秘などの症状を伴うときは、「中脘」、「大巨」などのほか、背中の「身柱」、「脾兪」、「胃兪」、足の「足三里」なども対象にするとよいでしょう。

息苦しいような呼吸症状を伴うときは、「膻中」、「中脘」、「郄門」、「照海」などの他、背中の「身柱」、胸の「兪府」、手の「曲池」などを対象にします。

低血圧の治療で大切なのは、特に背中の「厥陰兪」から「腎兪」の間にできた強い凝りをとることです。念入りにほぐれるように治療を行います。

◆低血圧の家庭療法

〇足の温冷交代浴を行う

起立性低血圧は、発作を予防するために足の温冷交代浴するとよいでしょう。

これは、初めに足首から少し上まで3分ほど温水につけ、次に冷水に30秒ほどつけることを、3~5回繰り返して行う方法であります。最後は、必ず冷水浴で終わるようにします。

足の温冷交代浴が終わりましたら、背中の「心兪」、「腎兪」、足の「太谿」、「照海」を中心に、家族の誰かにマッサージしてもらいます。これを毎日繰り返します。