慢性気管支炎(咳・たん・息苦しさ)

〇咳・たん・息苦しさ

慢性気管支炎は、せきとたんが主症状であります。一般に起床時に出ることが多く、たんの色もいろいろですが、色が付くのはよい状態ではありません。

急にひどくなるときには、かなり激しく咳き込んで、涙が出るほどの場合があります。病気が悪化したり、肺気腫が合併したりすると、息切れを伴います。
気管支の奥の細気管支に炎症が起こるときには、初めから息切れを伴う咳、たんが見られます。たんが多い時には、慢性気管支炎のみでも運動時には息切れを伴いますし、ときに血痰を見ることもあります。

肺炎を併発すると高熱になりますが、慢性気管支炎だけでは、熱が出ても微熱程度であります。重賞になりますと、チアノーゼや息切れがみられて、腫れぼったい顔となり、足がむくみます。

特に悪化しやすいのは、秋から冬にかけてで、秋になって咳を伴う風邪症状が始まったら注意して、早期に治療を行うことが必要になります。

慢性気管支炎は、大気汚染、タバコの吸い過ぎ、刺激性のガス、粉じんなどと密接な関係があり、なかなか治りにくい病気であります。また、体質的にかかりやすい人もいて、慢性気管支炎にかかったら、医師と相談して長期的な治療計画を立ててもらうことが大切になります。

ツボ療法は、鍼灸やマッサージ・指圧の方法を用いて、胸の痛みや息苦しさ、咳、たん、さらに虚弱体質に多い全身症状を取り除くことを目的に行ないます。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

背部 「大椎」、「治喘(定喘)」、「肺兪」、「厥陰兪」、「腎兪
喉元 「天突
胸部 「中府」、「膻中
腹部 「肓兪
腕  「孔最」、「列欠
足  「足三里」、「陰陵泉」、「三陰交

などがポイントになります。

◆治療法

うつぶせで、「大椎」、「治喘(定喘)」(第7頸椎棘突起と第1胸椎棘突起との間で外側へ5分のところ)、「厥陰兪」、「心兪」、「腎兪」、「志室」などを刺激して、胸の痛みや息苦しさを取り除きます。

十分に背中や腰の緊張がほぐれたら、胸の「中府」の治療をします。「中府」は呼吸器系の反応があらわれやすく、押すとシコリやかたまりを感じます。咳やたんがひどいときは、「天突」から胸骨の上端に向かって、鍼の刺激の場合は響かせます。

また、「膻中」、「巨闕」は胸苦しさや動悸を鎮めるのに役立ちます。「肓兪」は、「腎兪」や「志室」とともに体質を強くするツボなので、よく刺激します。

手は「孔最」、「列欠」が重要です。「孔最」は、咳や胸苦しいとき大変よく効くツボで、「列欠」にも同様な効果があります。「列欠」は、肺経から次の大腸経へと気血の流れるツボといわれていますので、下痢、便秘など大腸経の症状を改善する効果も得られます。この二つのツボのほかに、「侠白」や「太淵」も咳やたんをとるのに役立つツボです。

足は、「足三里」、「三陰交」、「陰陵泉」、「陽陵泉」などを刺激します。これらのツボは、咳やたんをとると同時に、体に冷えを防いでくれます。治療後に、ツボに磁気粒などの粒鍼を貼っておくと効果が持続します。

慢性気管支炎には、鍼灸がよく効きます。灸治療の場合は、上記のツボに米粒大のもぐさを1カ所に3壮程度すえ、3週間続けてその後1週間休む方法と、1週間続けて3日休むことを3週間続ける方法の、どちらかを選んで行います。

◆メモ

呼吸筋を鍛えるために、1日に2~3回、1回に10分間ほど、腹式呼吸をするとよいでしょう。

〇たんが出にくいときは、へその両側と腰を指圧します

咳やたんが続くと、腹筋が疲れてきます。腹筋が弱ると、なかなかたんが出にくくなるものです。そこで、腹筋の機能を高める刺激をします。へその両側にあたりを自分で指圧して、その後、体力を高めるために、ベルトの高さで腰を指圧しますと、腹筋がだんだんしっかりしてきて、たんが楽に吐き出せるようになります。