心臓の動悸(心臓神経症)

動悸には、心臓にいろいろな原因があって起こる動悸と、心臓に何の変化がなくても動悸の症状を訴えるものがあります。

怖いのは、普段よく経験する動機と違って、激しい動悸と速い脉(1分間に120以上)が同時に起こり、これに息切れまたは胸痛を伴うような場合があります。これは狭心症など重大な心臓病であることが多いので、こういった症状が伴うときは、必ず専門医に診てもらう必要があります。

そのほか、高血圧や低血圧などの血管の病気や、血液の病気である貧血症も動悸を伴いがちであります。また、呼吸器やホルモンの病気でも動悸は起こります。

心臓や血管の障害が原因となっている動悸は、発作的に起こることが多く、しかも前述のように頻脈や息切れ、胸痛を伴うことが多いので目安がつきます。また、血液の病気ならばめまい、立ちくらみ、呼吸器の病気ならば動悸に先立って、呼吸器の症状があらわれます。

しかし、多くの動悸はこれといった病気と結びついた症状はなく、心臓の検査をしても心臓病につながる所見がないのが普通であります。

日常、脈拍に何の異常もないのに動悸がするというのは、俗にいう自律神経失調症や更年期障害によるものが多く、心臓神経症と呼ばれています。

また、期外収縮といって、時々急に脈が乱れる、例えば、突然脉が二つ続けて打って、そのあと一つ抜けたように感じることがあります。これも実害のないものが多く、疲れやビタミンが不足すると起こりやすいです。

ツボ療法は心臓病につながる危険がない動悸に対して、大変効果があります。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

後ろ首 「天柱
背中  「厥陰兪」、「心兪
胸部  「膻中
腹部  「巨闕
手   「郄門」、「少衝」、「少沢」、「神門

などといったツボがポイントになります。

◆治療法

後ろ首、背中、胸の緊張をとるために、「天柱」、「厥陰兪」、「心兪」、「膻中」、「巨闕」などを刺激します。

背中の「厥陰兪」は、心臓あるいは心包の機能に異常が起こって、そのために全身の血のめぐりが悪くなり、手足や体が冷えるときに使うツボで、「巨闕」と併用しますと、動悸、息切れ、胸苦しさ、手足の冷え、のぼせ、顔のほてりなどがあるときに、非常に効果があります。

また、「膻中」は、ずばり胸の真ん中にあり、東洋医学では心臓発作の際に必ず用いるツボであります。「膻中」も、他の関連したツボを併用することによって、その効果を発揮します。動悸とともに胸痛がある場合は、「肺兪」や「神門」を刺激します。

動悸の治療には、手のツボも大変重要な役割を果たします。その代表が「郄門」であります。鍼を刺すと特効的に効きます。

また、「神門」も心臓に由来する動悸、息切れ、胸痛、胸苦しさなどによく効きますが、とりわけ胸痛発作があったときは「郄門」とともに必ず活用されるツボであります。

小指のつめの生え際の内側の「少衝」、その外側の「少沢」も胸苦しさを鎮めるのに有効なツボであります。胸痛や動悸のある人は、思いつくたびに小指をもむ癖をつけるとよいでしょう。

動悸の治療のツボ刺激は、マッサージや指圧だけでなく、鍼灸刺激がとても効果があります。前記のツボに中で、押して痛むところやしこりを感じるところなどを選んで、灸なら米粒大のもぐさを3~5壮を行います。小指の先の「少沢」には三稜鍼で瀉血を行うのも有効であります。

◆メモ

動悸や息切れにとっての大敵は、コーヒーや酒、たばこの飲みすぎであります。動悸の改善にはこれらを控えめにして、毎日の生活を規則正しくすることが大切になります。