正常な人でも、毎日50本以上の髪の毛が自然に抜け落ちて、新しい毛髪に生え変わっているといわれています。しかし、脱毛が著しくなりますと、結果として脱毛症になってしまいます。
症状として多いのは、円形脱毛症と呼ばれるもので、ある日突然前触れもなく頭髪が円形に抜けて、十円玉位の大きさになると脱毛の範囲が広がらなくなります。この円形の脱毛斑は1ヶ所のこともありますが、ときに数を増し、隣の脱毛斑とくっついて、比較的短時間の間に広い範囲で脱毛する場合があります。
脱毛の原因は、自律神経や遺伝、男性ホルモン、頭皮の血行不良といわれていますが、はっきりした原因は分かっていません。精神的なストレスや乱れた生活習慣などが、皮膚の自律神経系に何らかの形で影響しているかもしれません。
脱毛の回復には個人差があり、数か月かかるが治りますが、2年以上たっても新しい毛が生えてこない場合は重症であります。一般に中年以後の人よりも、若い人のほうが回復が早いです。
その他の異常な脱毛症は、青年期に始まり、額の両側が禿げ上がっていく若年性脱毛症や、中年以降に起こる老人性脱毛症、全身病による脱毛症があります。
ツボ療法では、精神的なストレス、神経質な性格などと密接して心身不調和の一症状として起こる円形脱毛症に、体調を変化させる変調療法として効果があります。また、中年以降でも軽い脱毛症ならば、ツボ刺激によって体調を整えますと、ある程度の予防としての効果を期待できます。
ー鍼灸治療編
◆主要なツボ
頭 「百会」
首 「天柱」、「風池」
背部 「大椎」、「身柱」、「肺兪」、「腎兪」
肩 「中府」
腹部 「中脘」、「関元」
手 「曲池」、「孔最」、「大淵」、「合谷」
など中心になります。頭のツボは、頭の表面の血液循環を改善するために、また、腰やお腹のツボは、全身状態をよくするために用います。
◆治療法
脱毛症には灸治療をすると効果が高まります。頭の頂が脱毛していれば、頭の「百会」、「通天」、「承霊」を、頭の横が抜けていれば「懸釐」を、後ろであれば「天柱」、「風池」などを治療します。
どこが脱毛している場合でも、「天柱」、「腎兪」、「中脘」、「関元」、「合谷」などは、全身調整の意味で治療を行います。灸治療をするのであれば、半米粒大のもぐさで、各ツボに3~5壮すえ、5日連続すえて、2日休むというペースで、十分回復するまで続けます。鍼治療も上述のツボから選択します。