前立腺肥大症

壮年を過ぎた男性が気にするものの一つに、前立腺肥大があげられます。確かに、年齢的には50才以上の男子で、尿がなかなか出ない、放尿力が弱い、出終わるまでに時間がかかる、排尿に強い力を加えなければならない、などの症状があり、特に夜間にたびたび排尿に起きるようになったら、この病気の初期であることが少なくない。

前立腺肥大をそのままに放っておくと、残尿が多量になり、そのうち尿閉を起こして尿毒症になることもあります。

医学的に言えば、前立腺肥大は良性腫瘍に入ります。これはどんな人でもある一定の年齢に達すれば前立腺が肥大していくわけ、老化現象の一つなのであります。

ツボ療法は、対処療法として排尿困難などを取り除き、また不快感で過敏になっている患者の神経症状を抑えることを目的に行ないます。

泌尿器科では尿道口などを調べて判断しますが、自分でも肥大の始まりを知る方法があります。膀胱の上にある「中極」というツボを押します。肥大が始まっていれば、尿道口に軽い痛みが感じられます。

まず、「中極」に右手の指をそろえて置き、その上に左手を添えます。そして。3~5㎏の圧力でゆっくりと斜め下60度の方向に押し、尿道口に圧痛を感じるようであれば、前立腺の肥大が始まっていることが考えられます。

-鍼灸治療編

◆主要なツボ

中極」は、前立腺肥大に伴う症状の治療で威力を発揮します。

そして、腹部には「中極」と同じ高さで前立腺肥大に伴う諸症状の予防に効果があるツボが並んでいます。「水道」、「大赫」がそれであります。

腰部では「次髎」、「膀胱兪」、「胞肓」があります。

また、「肝兪」、「腎兪」、「蠡溝」、「太衝」なども主要なツボになります。

◆治療法

「中極」を刺鍼する場合は、尿道口に向かって60度の角度で刺入することがコツであります。「大赫」、「水道」も同じ要領で刺鍼します。指圧法も同様な角度で押し込みます。

加えて、活力をつけるために「関元」、「肓兪」、尿の出をよくするために「曲骨」、「横骨」も刺激します。

背中側では、「次髎」、「膀胱兪」、「胞肓」を刺激します。

また、前立腺肥大には、「肝兪」、「腎兪」も刺激します。「肝兪」、「腎兪」にはからだ全体の機能を高める作用があります。

最後に、性機能改善のために、「蠡溝」、「太衝」を刺激します。

鍼灸治療は非常に有効です。

灸治療の場合は、症状によってツボを選択して米粒大のもぐさを1ヶ所に3壮、これを3週間続けます。知熱灸の場合は、親指大のもぐさを使用しますが、その場合は3~5壮すえます。