〇ツボとは何か
正経十二経、それに任脈、督脈を合わせて十四経の経絡は、古代中国の医学者がその豊富な体験に基づいて、人体に張りめぐらした通路であります。
その通路を、循環エネルギーは内臓の諸臓器から始まって、体の内部、あるいは表面を走って、手足や顔まで行き、そこからまた内臓に戻るのであります。
この経絡の途中にあって、一つの連なりになっているのが、経穴(ツボ)であります。
経穴といっても、人のからだに穴が開いているというわけではありません。循環エネルギーの流れが滞りやすく、様々な現象や反応、感覚が現われる場所と考えてよいかと思います。
臓器と経路を水道とホースに例えますと、ツボがよく理解できるかと思います。水道から流れ出た水は、ホースに異常がなければ勢いよく流れます。しかし、このときにホースの一部を手で押さえたり、軽く足で踏んだりして圧迫しますと、流れる水の勢いは弱くなります。その押さえ方一つで。水の流れを調整することもできます。この抑えたり踏んだりしたところがツボに当たります。
また一方、体内の異常は、それぞれの臓腑と関連を持つ経路を通して、ツボに様々な症状となって表れます。
例えば、痛み、しびれ、圧痛、凝り、冷え、ほてり、小さな皮膚疹、シミやそばかすなどの色素沈着、電気特性(電気抵抗が変化したり、ツボ以外の皮膚との電位差が違ったりすること)などの症状であります。
これらの症状に応じて、どの経路のツボが対象になるのか判断することが、治療の際にまず必要となってきます。同じように腹の痛みを訴える場合でも、痛みのある場所や、胃の異常によるものか肝臓の障害によつもの化によって、治療に選択するツボは異なってきます。
東洋医学が、西洋医学と同じく機能のひずみを正すことを目的としながら、治療の仕方においては全く方法を異にし、一人ひとりの症状を重視する根拠がここにあります。からだの異常を正すために肝腎なのは、それがどんな病気か判断するより、体はどんな異常を知らせようとしているのか、どうしてほしいと訴えているのかを知ることであります。これが東洋医が気の考え方であります。
このからだの訴えは一つの治療を施しただけでは鎮まらないかもしれません。次々に様々な形で訴え続けることもあり得るかもしれません。それでも、これらの訴えの一つひとつに辛抱強くこたえていけば、やがて人間のからだは自然の法則に戻り、機能は回復するはずであります。
これがツボ療法の根幹となる考え方であります。
〇十二経脈
・手の太陰肺経
・手の陽明大腸経
・足の陽明胃経
・足の太陰脾経
・手の少陰心経
・手の太陽小腸経
・足の太陽膀胱経
・足の少陰腎経
・手の厥陰心包経
・手の少陽三焦経
・足の少陽胆経
・足の厥陰肝経