鍼灸オタクは早死にする 412

体からのSOS

●今まで経験したことのない強い腹痛
○急性腹症

突然、今まで経験したことがないほどの腹痛が襲うことを、医学的には〝急性腹症〟といいます。脂汗が出て、七転八倒し、意識を失いそうになるくらいの強い痛みが起きるお腹の大事件です。

急性腹症といっても原因は様々で、イレウスいわゆる腸閉塞と急性膵炎、急性虫垂炎などがあります。

イレウスとは、腸がねじれてしまう病気です。普段はうまくお腹に整理して入っている腸が、運悪く何かかの原因で途中でねじれてしまい、血液が滞って腸が腐ることで、ひどい腹痛、嘔吐、便が出ないなどの症状に見舞われます。

急性膵炎は、膵臓の消化酵素が膵臓自信を溶かしてしまう病気です。アルコールを飲みすぎるとなりやすく、大酒飲みの病気ともいわれています。膵臓がパンパンに腫れ、上腹部に激痛が起き、その痛みで気を失う人もいるほどです。死亡率も高い危険な病気です。

急性虫垂炎は、急性腹症の原因で一番多いとされる病気です。大腸の入り口にある盲腸に異物や便の硬くなったものが詰まって細菌が入り、炎症が起きる病気です。はじめはお腹のいろいろなところが痛くなりますが、だんだん盲腸のあるの右下腹部付近に痛みが集まってくることが多いといわれています。

ほかにも急性腹症には、胆のうが炎症を起こす急性胆のう炎や、腸に一時的に血液が行かなくなる虚血性腸炎など様々な病気があります。いずれの急性腹症も悪化すると〝急性腹膜炎〟に発展し大変危険です。腹膜とは、お腹と臓器を包んでいる膜で、どの臓器ともつながっていない清潔な場所で、ふつうは炎症は起こしません。そのため、菌が侵入すると一気に増殖してしまい、敗血症によって命を落とすことがあります。

よくあるのが盲腸をこじらせて腹膜炎で亡くなったというケースです。盲腸に穴が開き、そこから便が漏れて腹膜に炎症が起こることがあります。あるいは、イレウスで腐った腸に穴が開きそこから膿や細菌がもれる、急性膵炎の炎症が腹膜に及ぶなど、様々な原因で急性腹膜炎は起こります。

いずれにせよ、七転八倒する急性腹症は、すぐに救急車を呼んで、一刻も早く対処しましょう。

〇何科に行くべき?

消化器内科/消化器外科/すぐに救急車を呼んでください

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社