鍼灸オタクは早死にする 497

◆東洋医学講座 17

〇卜(ぼく)は天文からなる 2

時間というものは宇宙の変化であります。時の流れ、宇宙の流れを見通せれば、全ての天と人との相生相克関係、要するに、天が助けてくれるように人間が従っているか、天から傷つけられるように人間が逆らっているか、ということが分かってきます。

例えば、自然の働きからいえば、夜は寝るものであり、太陽とともに起居しなければなりません。もし、夜に起きて食でとったとすると、寝なければいけないときに起き、昼間働くはずの内臓が夜に働かされることになります。人間の体は、一回や二回は防衛力を持っているのでうまくごまかすことができますが、毎日毎晩そのような生活をしていれば、自然に逆らうことになります。

自然に逆らっているか、順応しているか、という基本がわからなければ、そういう「順逆」は理解できません。それが真理であり、そのような天文の真理を知るためのものが卜であります。

若いうちや運気がいいとき、その人が勢いに乗っているときには、多少無理をしても表に現れないですみます。しかし、運気が衰退したり、体力が弱ってきたりしたときは、一度に逆らってしまった結果が現れます。

その人の勢いのいいときは、周囲はみな逆らわないものです。多少不満があっても、口に出して言わないでしょう。ところが、その人が何か失敗したり、落ち目になったりしたときは、今まで黙っていた人がワイワイと言うものです。それは、宇宙のそういう働きがあるからです。人間も同じことをします。

このように、自分を助けてくれる働きがきているときと、自分を助けてくれない働きがきてるときがあります。それを我々は、運、不運といっています。これは人間関係に限らず、全てにあります。つまり人間関係にあるということは、宇宙にもある、ということです。天と人とは同一であり、そういうものを見定める必要があります。

見定めるためには、真理という秩序を知らなければなりません。何が良くて内が悪いか、ということを知る必要があります。卜ではそのようなことが分かります。

例えば、結婚についてでも同様です。男と女は異なった機構で出来ていますから、男は女を、女は男を恋しいと思う、それが自然の原理です。陰と陽が結合して、全てが成立しているからです。

しかし、自分の目の前や周囲だけの狭い範囲の人と知り合い、恋愛の相手を得たとき、多くの人は最高の宝物を得たように信じます。しかし、その後の関係はうまくいかないことがあります。なぜならば、人間関係にも、傷つけ合う関係と助け合う関係があるからです。もし助け合う関係の人が目の前にいたら、運がいいです。ところが、助け合う関係の人は、そう何人もいません。傷つけ合う関係の人は、反対に沢山います。また、その傷つけ方にもいろいろあります。しかし、ひどい傷つけ方をする人の場合はすぐにわかります。ところが、微量毒の場合には、少し食べたくらいではすぐに反応が出ません。同様に、合わないものでも少しくらい合わない、というときはなかなか分からないものです。しかし、一緒になって、三年、四年、五年経つうちに、段々と分かってくるのです。

このように、結婚に限らず、あらゆる人間関係にもそういうことはよくあります。そこで、離婚問題が生じてくるのです。離婚問題が生じる以上は、そういう作用がある証明です。ですから、そういうものを知るためには真理が分からなければいけません。何が良くて、何が悪いか、何と何が合って、何と何が合わないか、ということをよく知らなければそういうことはわからないのです。それを説明しているのが〝卜〟です。