鍼灸オタクは早死にする 651

◆東洋医学講座 92

▽全機性とは

はじめに、人体は全機性であるということを知っておかなければなりません。

〝人間は、体内の各部分の活動が生命の維持に対してひとまとまりのものとして高度に統合された固体である〟ということが、全機性ということであります。

その全機性である人体は、何を根幹としているのでしょうか。一応、五臓が根幹を成していると考えますと分かりやすくなります。本当は、その根は脳ですが、いろいろな生理作用を考えていきますと、五臓に根幹を置いたほうが理解しやすくなります。

まず、全機性の人間を考えていくには、どのような過程でどのように成長していったかを知ることであります。このような考え方を進めていきますと、人はどのようにつくられているかという考え方になります。

▽人体の生成と腎体の関係

人体の生源は、どうしても母胎・子宮体に生源をおくことになります。人体の生成は、卵子と精子が結合したときから始まり、精子と卵子は父親と母親の腎の精、つまり人気の精製されたものであり、人体の元をすべて備えています。精子と卵子が、人体の大元となっているのです。

次に、この腎精の結合による腎精体、つまり腎の気はいかに生育されていくかということを知らなければなりません。そして生育過程は、母体の中で、母体から大気と食物を吸収し、脾化作用をしていくことにより、腎精体を膨張させていったにすぎません。

脾化作用は、年代によって違った形で現れてきます。

0歳から25歳の成長期は、五行では木気です。この成長期は、脾化作用が旺んに働いていますが、その大元には肝の働きがあります。

幼児期や、それ以前の胎養期は、腎旺期です。この期はまだ脾化作用が十分に発達していません。腎旺期に注意することは、食べ物による土剋水の現象です。食べ物の量と質を間違えてはいけません。それと、〝冷え〟による水自剋です。

小児・少年期は、肝旺の木旺期です。木旺期は伸長の成長期で、人体では肝が活発に働くときです。

木旺期は、全てのものが一応の成長をとげます。必ずしも木系のタイプの人だけが成長するのではありません。それぞれのタイプなりに最高の成長をする期です。

木旺期の人が木気にあったときには、大いに成長します。金・水タイプの人は、背が高くなるよりむしろ中身が締まって中背になります。

心旺期・脾旺期は働きはほぼ同じで、中年期にあたります。

老年期になると、肺旺期なので食べ物はあまり必要としません。大気中の五大栄養素をとり入れることが旺んであるからです。

このように流年的な流れは、腎旺期から始まって、肝旺期、心旺期、脾旺期、肺旺期と経過して、生から死までの流れの変化を示しています。

そして、各旺体期に、どのような病気にかかりやすいか、どのような治療が可能か、また、どのような思想をもつのか、どのような理念を抱くのかなどという活用にまで、「旺相死囚休」を用いて発展させます。

それらをまとめると、先天の力、後天の力の働きとして要約されていきます。

▽人体に及ぼす先天の力、後天の力

先天の力とは腎精の力であって、父母から与えられた力と質です。その質は、〇か▢か△かという区別、その力は十か、百か、千か、これらは一人一人違います。後天の力とは、五臓の働きをつかって脾化作用したものです。先天の力と後天の力をプラスしたのが現体です。病気であれば現症状といえます。

先天の生来父母から与えられた力に不満を持たずに、むしろその力をいかにして有効に使うかということが主要であって、それが後天の働きでもあります。また、先天力は定まったものですから、それを削らないように生活することが大切といえます。

はり・きゅう専門 ひごころ治療院
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