鍼灸オタクは早死にする 679

◆東洋医学講座 106

▽眼の診断の仕方

▼各部の診断法

眼の各部の見方を述べます。

①瞳は、黒く澄んでいて、黒目が、すっきり黒ければ、腎は正常である。

②睛は、濁ってなく、茶目の人であったら、きれいな茶色であればよい。常色というのは、その人が先天的に持っている色をいう。常色を見分けるのは少し難しい作業である。

③白目は、眼のうちで比較的見やすいところである。白目が白いのは、肺の状態がそのランクにおいて健康を保っていることを示す。白でなければ変動を示し、充血していれば心の変動があることが分かる。白目は肺系を示すので、気の循(めぐ)りをしめす。睡眠不足で目が充血するのは、この気の循りが不足したために血液の循環が速やかに行われず、充血が去ってない。ことに頭部は、陽経が集まっているところなので、陽気が集まりやすく敏感なので、肺気や心気をみるには好都合である。

横隔膜より上は陽気が集まり、その代表穴は百会である。頭の中が透けて見える外候点は、眼である。顔は頭のメーター系であり、そのうちでも眼が頭を一番知ることができるところである。〝目は心の窓〟といって中心部の覗き窓で、気の働きは目に現れる。とくに白目は、血や気の生理作用の裏の流れが分かる。黒ずめば腎の変動で、青味がかれば肝の変動である。

④正常な眥(まなじり)は、心が正常であることを示す。赤味がかっていれば、心に変動あり。

⑤浮腫は、脾胃が旺して腎を剋す場合に出る。脾胃が勝っているということは、必ずその裏に腎の虚がある。腎が虚さない限りは、脾胃がいき過ぎても平気である。腎力が平衡できないので変動する。

⑥目の玉に落ち着きがなく、動いて定まらない人は、心の落ち着きのない人である。顔があちらこちらに動き、視点の定まらない人も心の移りやすい人で、考えがまとまらない。ひどくなると狂人になる。

眼は肝臓と関係するので、これは肝臓の問題である。つまり、肝が亢進している。そして、肺の制御が足らず、肝が過旺となっている。気違いというのは、肝の変動で肝が他の臓器とのバランスを保てず、肝がいき過ぎている。肝臓の中も五つに分けれて、肝中の肝が特に過ぎればヒステリーになり、じっとしていられずに、攻撃的になり、肝力が虚すれば、ノイローゼになる。

⑦心臓が弱ると、眼を開けていられなくなる。腎・肝が虚して、それが心までおよんでいるためである。反対に、腎が実し、肝・心も実していれば、眼を閉じていることができなくなる。

また、虚している状態にも二通りあり、全体の体力が落ちて虚している場合と、一過性に虚している場合があるので、よく見極める必要がある。

⑧眼球が動かずに、一点を見つめているは、重体者に多く見られる。中に浮いたように一点を見つめているような眼である。

⑨瞳孔は明るいところで縮小し、暗いところでは散大するのが正常である。平常、瞳孔が散大しているのは異常で、脳がおかされている場合に多く、梅毒時にもそれがみられる。

瞳の大小は、先天的なものである。瞳が大きい人は聡明・明朗であり。小さい人は心が狭く、陰湿である。これは自然哲学方程式によってすぐにわかり、大は陽であり、小は陰であるから。