家相学 25

方位と大気

〇鬼門を科学する

鬼門は生門ともいい、本来は生気の生まれ長ずるところという意味があります。陰冬の気が減じて、陽の気が生まれ出ずるところというわけですが、その時点の状態では陰陽の気が交流しています。

鬼門がなぜ恐れられているかという理由は今まで全く解かれていません。鬼門を犯せば、これこれこういうことが起きると結果だけ書いてあっても、これを科学的に解いた例はありません。ここで、鬼門を科学的に分析してみることにします。

表鬼門は冷気旺盛で、裏鬼門は熱気旺盛であります。体温と気温差が著しく他の四季と違うということであります。人間は36.5前後の体温を保たなければいけません。それ以上でもそれ以下でも、からだを冷やしたり、温めたりする働きが減退することになります。健康ならば耐えられますが、身体が弱っていたり、病気であったりすると、その病気をますます悪くするかもしれないという危険な時期でもあります。

また、人は生きていくには酸素が必要であります。その酸素が鬼門では稀薄なのです。なぜ希薄になるかといいますと、西南の裏鬼門は夏の鬼門なので、暑さのため地上の酸素が上昇してしまい、人の周囲には少なくなっているからです。

東北の表鬼門は冷気のため、体温保持にエネルギーを消耗するのと、酸素を発散してくれる草木が冬眠しているため、酸素発生が少なくなります。酸素はある程度の熱が加わると上昇しますが。熱が加わらないとそのまま下に沈んでしまうのであります。水中から発する酸素も、寒さのために上昇してきません。このように酸素発生源が、全部眠ってしまっているのであります。

このように考えますと、鬼門が恐れられている理由が分かってくるでしょう。

時間的にみますと、表鬼門の時間は、一支2時間とすれば丑寅の刻で計4時間にわたり、昔から草木も眠る丑三つ時といわれているときにあたっています。とくに土用の月の午前3時を中心とした時間が、鬼門中の鬼門だということになります。もっとも、土用中の時期であっても、鬼門中の鬼門でない時間もあります。

ついでに男鬼門と女鬼門について説明します。これは男性の体質と女性の体質を比べてみると分かります。まず目につくことは、女性は皮下脂肪が多く、男性は少ないということです。この皮下脂肪は、温度の関係でいいますと、厚い服を着ていると同じことといえます。つまり、女性は男性より皮下脂肪という厚い着物一枚余計に着ているのであります。したがって、女性は暑さに弱く、男性は寒さに弱いということにつながります。それで暑いほうを女鬼門、寒いほうを男鬼門と呼ぶわけであります。

では、鬼門の悪例を説明してみます。

まず、表鬼門です。東北位にトイレがあったとすると、鬼門月ともなれば東北から風が強く吹いてきます。しかも、この空気は酸素が少なくて、冷気とともにやってきます。眠っているときなど抵抗力のない無防備な状態のときにこのような冷気と酸素の少ない、悪い条件のときに、このような冷気と酸素の少ない悪い条件の空気がトイレの嫌な臭気とともに入ってきたら、たまったものではありません。それも、1日や2日ではありません。1年、2年、3年、4年、5年と吸っていれば、脳の命令神経が犯され、思考力が鈍くなるのは当然のことでしょう。このとき運気が弱ければ、病気にかかり、果ては廃人同様となってしまいます。そこで鬼門という言葉を使って、周知させることを昔の聖人は考えたのでしょう。

運気の強い人、すなわち丈夫な人、または、いろいろ条件をもった強い人でさえもこのような鬼門の家に住むことは危険であります。