鍼灸オタクは早死にする 775

◆東洋医学講座 154

〇肝と三・八

▽五臓と数理の相関

ここでは肝臓と、あるいは五臓と数理がどのような相関性をもっているかを説明します。

宇宙の生成単位は、二・三・五の数で成り立っていますが、成数である五は基本単位となっています。一から五までを、ここでは基数あるいは生数としておきます。それがさらに成熟した六から十までを成数とします。

肝は人体の生成機序においては三番目に生成されます。第一は人体では腎臓です。宇宙では水が発生したとします。それが〝天一水を生ず〟ということです。天一水を生ずということは、一は初めという意味で、天は初めに水を生じたということです。水というよりも、もっと前の水の元になるものを発生したのでしょう。雲霧を生じたのです。

天の働きを陰陽に分けますと、陰は冷気、陽は熱気です。宇宙空間には冷気が立ち込めています。そこへどうかして熱気が入り込んだ場合に旋風が生じ、そこで霧が発生します。冷気と熱気がぶつかり合って交合すれば、雲霧が生じます。それが水気の基です。

人体では父母の生じた精子、卵子の結合により腎精体が生じます。自然はすべて天人同一機構なので、出発は腎であることが分かると思います。さらに宇宙方程式に従えば、第二の生成は心臓ということになります。腎の一部が化して心となります。腎と心とは同じものですが働きが違います。

心臓は大きくいえば動力源です。腎のうちはまだ静の状態ですが、それが化して動となったのが心です。

腎、つまり水の働きは、表面は静かで静止した状態ですが。その中では運動しています。それが表に向かって力を出して働き出すのが心です。したがって、腎精体としてとどまることなく、人体として化していくスタートが心臓になります。

その次が肝臓の成立です。肝は動源を送る役目をもち、腎の動源を伝えるものです。神経や筋肉がその代表的なものです。

腎を発電所に例えますと、肝は送電線、そして心は光・電灯といえるでしょう。したがって、腎・心・肝は同一性をもちながら、働きが違うにすぎません。

▽先天と後天の働き

ここで少し先天と後天について説明をしなければいけません。それは、先天的には人体の生成機序においては、腎→心→肝の順で生成されているものが、後天の働きにおいては、腎→肝→心の順で働いています。