◆東洋医学講座 185
〇心(しん)と舌(ぜつ)
目・舌・口・鼻・耳の五官中、心と関連するのは舌であり、舌は〝心苗〟とされています。舌は心の一部であり、表部に外開しているものの代表でもあります。
舌診が重要な役割を持っているのも、上記のことからうかがえます。心がおかされてくると、舌尖がしびれてきます。
健康舌の特徴は、
①色は淡紅色
②小突起の乳頭無数で灰白色を呈する
③舌尖に至るほど紅い
④唾液の流出によって、滑らかな光沢がある
▽五官能と臓器の関係
一般的に五官能とは、嗅覚・味覚・視覚・聴覚・触覚をいいます。臭覚は鼻、味覚は口、視覚は目、聴覚は耳、触覚は顔面に表れている部分では眉です。
眉のきれいな人は、感覚もいいですし、字もきれいな人が多くいます。このように人の顔や姿を見ただけでもその人の全てが分かります。感覚の象徴が、顔や姿に示されているからです。したがって、人相学や手相学があるわけです。
臨床家は人を診断するので、その人の体力・体質・性質の三つを見抜く力を身につけなければいけません。古典を勉強するのも、診断力、見通す方法をしっかり身につけるためです。古典から学ぶのは、東洋流の解剖学であり、生理学、病理学、診断学、治療学、養生学です。全部の分野が並行して、はじめてすべてが分かるような仕組みになっています。