盲腸の虫垂は必要のない器官?

盲腸の虫垂は必要のない器官?

小腸から続く大腸の最初の部分である盲腸の先には虫垂という部分があります。盲腸は、草食動物では非常に発達していて、植物由来のセルロースを消化する機能があります。虫垂は、盲腸の先端だった部分が大過して縮んだものだと考えられてきました。

虫垂のある哺乳類は限られており、ネズミやネコ、ジャコウネコ、霊長類の一部などしかありません。ヒトの盲腸と虫垂は、退化器官の典型例とされてきました。特に虫垂は、俗に盲腸と呼ばれる虫垂炎を引き起こすことがあり、無用の長物だと考えられてきました。

虫垂炎は悪化すると、虫垂が破れて腹膜炎を起こすことがあります。虫垂炎の治療は、現在は抗生物質を投与し、手術をしないで対処することが多くなってきましたが、炎症を起こした虫垂を手術で切除することもまだ多いです。切除しても健康には大きな影響がないからです。

しかしどうやら、虫垂は無用の長物とまではいえなくなりました。虫垂にあるリンパ組織が、腸内細菌のバランスを生み出す役割を持っていることが明らかになっています。

参考文献・引用・2002年・『人体完全ガイド』改訂第2版・ニュートンプレス