すっぱいものだけに異様にむせる場合は、食道がんか咽頭がんの疑いがあります。特に、食べ物と空気の通行を整理している食道の上部や咽頭や喉頭近くに腫瘍があるとむせやすくなります。初期は刺激性の強いすっぱいものにだけ敏感に反応してむせますが、ガンが進行しますとどんなものにでもむせるようになります。
また、咽頭がんも食道がんも腫瘍が大きくなりますと、食べ物がつっかえる感じが出てきます。液体ならすっと通るのに固形物だと引っかかる感じです。
さらに、声がかすれる場合も要注意です。ちょうど風邪を引いたときのように声がおかしくなります。何週間も治らないときは、声帯のあたりにガンがあるかもしれません。
食道やのどにガンができる原因は、熱いものや濃いアルコールによるダメージがあります。熱い茶粥を食べる習慣があった地域では、食道ガンが多いというデータがあります。また、濃いアルコールはウィルスの細胞膜を壊せるくらいですから、のどや食道の粘膜の細胞を簡単に壊してしまいます。
そして、タバコは大きな要因となります。発がん性物質であるタールを含む煙は、吸うときと吐くときに二度ものどや気管を通ります。ヘビースモーカであれば、のどや食道、気管の粘膜の細胞のダメージは計り知れません。
食道ガンも咽頭ガンは、初期では発見されにくく、発見が遅れると予後が悪い厄介なガンです。早期発見が大事だと覚えときましょう。
予防として、定期健診で胃カメラ検査をすることです。咽頭ガンや食道ガンは、60~70歳の男性に発症が多く、喫煙・飲酒が大きな危険因子であります。年齢や習慣が当てはまる人は必ず受診をお勧めします。
健診でのポイントは、「のどと食道が気になるからしっかりと見てほしい」と一言加えることです。胃カメラは胃の中を見ることがメインなので、一言あれば、のどや食道をしっかり見ざるを得ません。その一言が命を救うことがあるかもしれませんよ。
〇何科に行くべき?
内科/消化器外科・内科/耳鼻咽喉科
参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社