飲んだ翌朝に下痢をする(膵臓の疲れ)

悪いものを食べたり、ストレスで下痢をしたりすることはよくあります。しかし、お酒を飲んだ翌日に決まって下痢になるときは、すい臓の不調が疑われます。下痢のときに、便器の水の表面に薄く油が浮いていたら、間違いなくすい臓がSOSを出しています。

すい臓は、胃の裏側にある臓器で、大きく二つの役割を持っています。一つは油を分解する酵素を出すことと、もう一つはインスリンというホルモンを指して、体内の糖をコントロールする働きです。

下痢の症状は、このうち油を分解する働きにかかわります。すい臓の機能が低下して油を分解できないため、油物が消化できずに下痢になります。こうした下痢は、2日くらい飲酒をやめて、油物を控えれば、てきめんに治ります。

もともとすい臓はアルコールに弱く、アルコールが原因で炎症を起こすこともある臓器です。そこに油物までとればすい臓は酷使され、ダブルパンチですい臓はやられてしまいます。

アルコールと油物は、すい臓にとって最悪の組み合わせです。お酒と一緒にポテトチップスや唐揚げ、油がしたたる焼肉を食べたり、締めに脂こってりのラーメンを食べたりする生活を続けますと、次第にすい臓は悲鳴を上げてしまうでしょう。

すい臓の疲れから慢性すい炎に移行したり、アルコール性の急性すい炎にかかったりするリスクが高まります。慢性すい炎は糖尿病やすい臓癌の原因にもなりますし、急性すい炎もひどい場合は死に至る怖い病気です。

こうした大病にまで進行しないように、特に酒飲みの人は、できれば週に1回でも休肝日をつくり、油物は控えましょう。また、食事のペースもすい臓がきちんと処理できるように、ゆっくりと噛んで食べることを心がけましょう。キンキンに冷えた生ビールと脂っこいつまみで、確実にすい臓は悲鳴を上げます。

なお、下痢をしたからといって、安易に下痢止めは飲んではいけません。下痢をしたときの心得は、出すものは出す。出し切れば下痢は自然に止まります。経口補水液などで水分をしっかり補給しながら、腸の中のものを出し切るのが下痢の正しい対処法です。

尚、下痢の治療は鍼灸治療で対応できます。

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社