真っ黒な軟便が出る(胃がん)

〇大便は体からの便り

便の色は、多少なりとも食べたものに影響されます。イカ墨スパゲティーを食べたら、真っ黒な便が出てくることもあるでしょう。ただし、そんな便が何度も出てくるときは注意が必要になります。特に真っ黒な軟便が出た場合は、すぐに医師の診断を受けたほうがいいでしょう。

病的な黒い便はタール便ともいわれ、その主な原因は胃がんです。胃の出血により便に血が混じり、便は黒くなります。ここで覚えておかなければいけないのは危険な便の色です。

便が黒い:胃がん、胃潰瘍
便が赤い:大腸がん、大腸ポリープ
便が白い:胆管がん、膵頭部がん

このように便の色によって、どこが悪いかが分かります。便は健康状態を知る重要なバロメータになります。おかしな色をしていないか、ちらっと見る癖をつけておきましょう。

なお、便が白くなる胆管がん、膵頭部がんは、非常に予後が悪いがんです。白くなる理由は胆汁にあります。人間の便は、もともとバリウムのような白色をしていますが、胆汁によって黄色くなります。この胆汁の通り道がふさがってしまうと、胆汁が腸に出ないために、便が黄色くならなくなります。痰咳の可能性もありますが、その場合は激しい痛みを伴います。痛みがあまりなく、便だけが白くなっている場合はがんの疑いが濃厚です。胆汁の通り道である胆管のがんや、すい臓の頭部と胆管の合流部辺りにがんができる膵頭部がんが考えられます。

胃がんの場合は、便の色のほかに、体内の出血によって貧血症状があらわれることも少なくありません。大腸がんと同様に、男性や閉経後の女性に貧血がある場合は注意が必要です。

ただし、小さながんの場合は、少量の出血のために明確な自覚症状があらわれないこともあります。そういう場合でも、爪やまぶたの裏が白っぽくなったり、軽度のめまい、ふらつき、息切れがあらわれたりします。

また、食後のみぞおちの鈍痛も、胃がんの初期症状として多いとされています。進行すると、食事に関係なく痛みが出るようになります。

なお現在、胃がんは早めに対処すればそこまで怖いがんではありません。一方で、胃がんは日本人がかかりやすい病気の一つで、がんによる死因でも、肺がん、大腸がんに次いで第3位になっています。しっかりと検診を受け、早期発見・対処が必要になります。

胃がんの原因のほとんどは、胃の中のピロリ菌であることが分かっています。ピロリ菌が長年にわたって胃の粘膜を刺激した結果、胃炎や胃潰瘍をおこし、胃がんまで進行させます。ですから、保有者はピロリ菌の除去が必要になります。ピロリ菌は、血液検査のほか、呼気検査でも分かります。ピロリ菌がいた場合でも、薬で簡単に除去できます。

他にも過度な飲酒や塩分摂取、刺激物、タバコ、ストレスが胃がんの原因として挙げられます。あまりい偏った食生活や習慣は、すぐに見直してください。

〇何科に行くべき?消化器外科・内科/胃腸科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社