咳と一緒に真っ赤な鮮血が出る(肺がん)

口から血を吐くことを一般的に吐血といいます。ただし、医学的には吐血と喀血の2種類に分けられます。吐血とは、食道や胃、十二指腸からの出血、喀血はとは、気管や肺からの出血を指します。咳をしたときに、真っ赤な鮮血が出る場合は喀血です。肺の傷や肺がんが考えられます。

一方、チョコレート色の血は消化器からの出血で、胃や十二指腸の潰瘍やがんなどが疑われます。血液が胃酸によってサラミのように固まってしまうので、コーヒーの残滓のように出てきます。

なお、消化器から出血は基本的にチョコレート色ですが、一部真っ赤な血液が出てくることがあります。これは、胃から上の食道からの出血です。食道には胃酸がないので血液はチョコレート色にはなりません。

他にも肺がんでは、咳が出たり、呼吸が苦しくなったり、血痰が出たりするなど呼吸器系症状が重なります。

肺は、気管が枝のように張りめぐらされ、酸素を送ったり、二酸化炭素を取り込んだりします。この気管の近くにがんができると、呼吸が苦しくなり、がんを取り除こうとして呼吸器の症状、すなわちせきや痰がが出ます。

肺がんなのに呼吸器系の症状がほとんど出ないこともあります。がんが気管から離れた肺の外側の壁にできた場合です。この場合は、肺がこすれると痛みが強くなります。特に深呼吸や肩甲骨を動かしたときには胃が痛むようでしたら、肺がんの可能性が疑われます。また、肺の外側にはろっ骨があり、その先には三角筋があります。そこにがんが浸潤しますと、肩や二の腕に痛みや不快感があらわれます。

なお、肺がんは早期発見で治りやすいがんですが、肺の面積に比べて、早期がんがごく小さく、なかなか症状にあらわれません。気づいたときにはがんが大きくなっていることが多いうえに、転移しやすい特徴もあります。これが、肺がんが難治性のがんといわれるゆえんです。

ついでに申し上げますと、バスにレントゲンの機械をのせ、地域や会社に撮りに来る検査は、病院のレントゲンよりはるかにX腺の被ばく量が多く、画像の解析度が低いので、あまりお勧めできません。

〇何科に行くべき?

内科/呼吸器内科/呼吸器外科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社