手のひらが黄色い(肝臓がん)

肝臓がんの原因は主に二つです。一つがウィルス性肝炎で、肝臓がんの原因の9割ほど占めます。そしてもう一つが、アルコール性肝炎です。血液感染などが原因のウィルス性肝炎については避けられないこともありますが、アルコール性肝炎は日々の心がけで予防はできます。

アルコール肝炎から肝硬変、そして肝臓がんへと発展するその前に、肝臓の異変を察知して、早めに肝臓をいたわることが大切です。

その際に参考になるのが手のひらです。手のひらの色は肝臓の健康状態を知るうえでとても役立ちます。手のひらがいつも黄色っぽくなっているときは、肝臓の不調を知らせる黄疸症状かもしれません。

肝臓は沈黙の臓器といわれ、不調があってもなかなか症状にあらわれません。しかし、症状が進むにつれて皮膚や白目が黄色くなる黄疸症状があらわれます。その場合、手のひらはカボチャの煮物のような色になります。

黄色くなる原因は、血液中にある色素ビリルビンの増加にあります。ビリルビンは、役目を終えた赤血球が壊れて、血液中に放出された色素であります。不要となったビリルビンは肝臓でリサイクルされ、消化酵素の胆汁に作り直されます。

肝臓に異常がありますと、要らなくなったビリルビンの引き受け手がいなくなり、血液中にビリルビンが増えて黄疸が出ます。黄疸は尿の色にもあらわれます。オレンジ色、または紅茶のような色は黄疸の可能性は高くなります。なお、肝臓が正常でも、胆石症によっても黄疸が出る場合があります。

黄疸が出るまでの前駆症状があります。慢性の肝障害のサインで、手掌紅斑という手のひらが赤くなる症状です。手のひら全体ではなく、親指や小指の付け根など、手のひらの外側だけが赤くなるのが特徴です。

肝機能が低下すると、エストロゲンの代謝異常が起きて、血液中のエストロゲンが増加します。すると、血管の収縮に異常が起き、毛細血管が赤く浮き出て、血管が透けて見えるようになります。女性の場合、妊娠でエストロゲンが増加すると、手掌紅斑が起こることがあります。

慢性の肝障害が進みますと、首やお腹の毛細血管がクモの巣のように赤く浮き出るクモ状血管腫が起こります。首に赤いあざのようなものがあらわれたり、おへそ周辺の血管が網目状に浮き上がったりしたら危険信号です。おへその毛細血管が浮き出た状態を、「メドゥーサーの頭」といい、肝硬変や肝臓がんの兆候ととらえられています。

肝臓は悪くなるにつれて、蓄積している脂肪が溢れる脂肪肝や肝臓の細胞が硬くなる肝硬変、そして、肝臓がんへと進みます。がんの炎症から液体が分泌され、腹水が溜まるようになると余命は長くありません。

普段から肝臓の声に耳を傾けて、取り返しがつかないような状態を避けるように、日々肝臓をいたわるように心がけましょう。

〇何科に行くべき?  内科/消化器外科・内科/肝臓内科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社