男性の生殖器

男性の生殖器

私たちの体は、父親の精子と母親の卵子が融合した受精卵からはじまります。男性の生殖器は精子を作り出し、卵子の持つ女性の生殖器に精子を送り込む役割をもちます。

精子をつくるのは、一対の精巣です。長さ4~5㎝の卵型の器官であり、内側に精細管と呼ばれる細い管を収納しています。この精細管で精子はつくられます。精子の形成は思春期にはじまり、一生にわたり継続して行われます。健康な若い男性では、ほぼ毎日1億個の精子がつくられます。精巣でまた、主要な男性ホルモンであるテストステロンもつくられます。

完成した精子は、精巣の上にのった精巣上体で10~20日ほど貯蔵されます。ここでは、古くなった精子の分解も行われます。

精巣と精巣上体は、下腹部から垂れ下がった袋状の皮膚である陰嚢におさめられます。腹部から離れ位置にあるため、精子は体温より低い温度で保たれます。陰嚢はさらに伸縮することで温度調整を行い、熱に弱い精子を守っています。

精子を女性の体に送り込むのは、尿を排泄する管が通った陰茎です。尿道は精子の通り道でもあります。陰茎は、スポンジ状の海綿体で占められており、性的に興奮すると、自律神経のはたらきで海綿体内部が血液で満たされて、硬く膨張した状態になります。

勃起状態になると、精巣上体に貯蔵された精子は精管の蠕動運動によって、膀胱の裏側にある精管膨大部の運ばれます。また、膀胱のすぐ下で尿道を取り囲む前立腺と、精管膨大部についた精嚢から分泌液が放出されます。

性的興奮が更に高まると、精嚢腺液と精子の混合液が射精管から尿道の前立腺部に放出され、そこに前立腺液が混ざって尿道を通じて体外に放出されます。なおこのとき、前立腺の上側にある内尿道括約筋は閉まっていて、尿は放出されません。

参考文献・引用・2002年・『人体完全ガイド』改訂第2版・ニュートンプレス