乳がん

乳がん

乳がんは、乳腺の細胞にできるがんです。日本の女性ではがんで最も多い病気です。2011年の統計をみると、約8万人の女性がかかっており、40代後半~60代前半の年齢層で特に多いです。

乳がんは、女性ホルモン(エストロゲン)の影響で増殖することが知られています。閉経後にはエストロゲンの分泌は停止するが、脂肪細胞が、男性ホルモン(アンドロゲン)をエストロゲンに変化させるため、肥満の女性では乳がんのリスクは高まります。子宮体がんも同様です。

乳がんの多くは乳管にできます。管の内部でがんが増殖している段階を非浸潤性乳管がんといいます。がん細胞が乳管の外に出た湿潤性乳管がんになりますと、がんが他の組織に転移する危険が出てきます。

乳房には多くのリンパ管が集まっています。胸部の中心側へ流れていく経路と、わきの下(腋窩)や鎖骨の方へ流れていく経路があります。乳がんが進行すると、こうしたリンパ節、主に腋窩リンパ節に転移してしまいます。

これまでは、どのリンパ節にがんが転移しているか知る手立てはなかったために、範囲を決めて広くリンパ節を切除する方法がとられてきました。ただし、最近はセンチネルリンパ節(リンパ管に入ったがんが最初にたどりつき、がんの見張り役となるリンパ節のこと)の転移の有無を調べるという方法をとることで、早期の乳がんであれば、不必要に多くのリンパ節の切除を行うことなく、乳房を温存することも可能になってきています。

参考文献・引用・2002年・『人体完全ガイド』改訂第2版・ニュートンプレス