鍼灸オタクは早死にする 411

体からのSOS

●腰の激痛を伴う40℃近い高熱
○腎盂腎炎

普通の健康な人に突然40℃近い高熱が出たら、インフルエンザや腎盂腎炎、重度の扁桃炎、急性前立腺炎のどれかを疑います。

このときに、腰をたたくと飛び上がるほど痛かったら、ほぼ腎盂腎炎で間違いないでしょう。

腎盂は腎臓の内側にある尿をためるスペースで、尿は、腎臓→腎盂→尿管→膀胱→尿道を通って排泄されます。このルートをさかのぼって、雑菌が膀胱に入り込み、さらに尿管から腎盂に入り込むと強い炎症が起こります。これが腎盂炎です。

女性は特に尿道が短くて、尿道から膀胱に雑菌が入りやすい造りになっています。女性の膀胱炎が多いのはそのためです。そのため、膀胱は雑菌が入りやすい場所なので粘膜が強く、膀胱炎になっても高い熱が出るような炎症は起こしません。

それが、疲労などで体の免疫機能が衰えていますと、雑菌が膀胱でどんどん増殖して、それらが尿管をさかのぼって腎盂に達することがあります。腎盂や腎臓は外界から離れた体内の奥深くにあり、非常に清潔で、無防備な場所です。なので、ひとたび雑菌が侵入しますと、一気にやられて強い炎症が起こしてしまいます。

腎盂は2つの腎臓にそれぞれありますが、腎盂腎炎になるのはどちらか一方です。炎症を起こした側の腰をたたきますと飛び上がるほど痛いのに、もう一方はそれほどでもないというときは間違いありません。

腎盂腎炎は放っておきますと、大変危険な病気です。腎臓には太い血管が入っていますので。そこから菌が全身に回り、細菌が増殖して炎症が全身に広がる敗血症を起こす可能性があります。また慢性腎盂腎炎に進行しますと、腎臓の機能が衰えて、最終的には人工透析や腎臓移植を行う必要も出てきます。

いきなり高熱が出て、片側の腰が痛かったら、すぐに病院に行きましょう。救急車を呼ぶほどではないにしても、タクシーで救急外来に入ってほしいレベルです。治療が早ければ早いほど重症にならずにすみます。

予防は、排尿を我慢せず、尿で雑菌を流してしまうことです。特に女性は、外陰部を清潔に保ち、性行為の後は必ず排尿するようにしましょう。

また、膀胱から腎盂腎炎になることも多いので、膀胱炎を市販薬でごまかしたり、病院に行ったからといって放置せず、きちんと治療しきることも大切です。

〇何科に行くべき?

内科/泌尿器科/腎臓内科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社