鍼灸オタクは早死にする 728

漢方講座 26

▽季節ごとの注意点

季節によって盛んな外邪は変わります。からだの中の気・血・水や五臓の働きも季節によって異なります。季節ごとに起こりやすい症状に気をつけることが、一年中健やかに暮らす秘訣になります。

●季節:春
●盛んになる外邪:風邪
●からだの変化
・陽気(温める作用を持つ気)が盛んになる。
・肝が盛んになる。生物が成長し活動を始める季節なので、「条達(じょうたつ(伸びて広がる)」性質がある肝が盛んになる。
●起こりやすい症状
風邪、鼻づまり、のどの痛み、せき、頭痛、めまい、目の充血、かゆみ、しびれ、不眠、情緒不安定など。
●対策と食事
かぜをひかないようにします。疲れやストレスを溜めないようにします。
●食養生
①辛・温性で風邪を発散:ネギ、ショウガ、シソ
②陽気の熱を冷ます:セリ、セロリ
③辛・涼性で肝を安定:菊花、ハッカ

●季節:梅雨
●盛んになる外邪:湿邪
●からだの変化
・気の流れが滞る。
・脾の働きが湿邪により低下。水湿(病理的な水)が溜まりやすくなる。湿邪は脾を傷め、気の運行を邪魔するため、脾虚(脾の機能低下)や気滞になりやすい。
●起こりやすい症状:
胸のつっかえ、腹部の張り、めまい、頭重感、体が重い、むくみ、冷え、下痢、排尿異常、おりもの、慢性の皮膚病、慢性の関節痛など。
●対策と食事
胃腸の働きを整え、からだから湿気を追い払います。
●食養生
①辛・温性で消化機能を高める:ショウガ、シソ
②湿気を乾かす:ココナッツ
③利尿作用のあるもの:ハトムギ、小豆、ハマグリ

●季節:夏
●盛んになる外邪:暑邪・火邪
●からだの変化
・津液が不足
・心が盛んになる。炎天下で汗をかいて脱水状態になり、体内に熱がこもる。一方で冷たいものの飲食で、脾を傷める。
●起こりやすい症状
顔面の紅潮、多汗、のどの渇き、夏バテ、動悸、不眠、イライラ、食欲不振、下痢など。
●対策と食事
水分を十分にとり、脱水を予防します。夏バテに注意。
●食養生
①体の熱を冷ます:ニガウリ、緑豆、レタス、バナナ
②津液を増やし、のどの渇きをいやす:キュウリ、トマト、トウガン、スイカ

●季節:秋
●盛んになる外邪:燥邪
●からだの変化
・津液が不足
・肺の働きが、燥邪により低下。空気の乾燥から、肺が潤いを失い、不調が現れやすい。皮膚や髪が乾く。
●起こりやすい症状
口・鼻・のどの渇き、鼻血・からせき、ぜんそく、たんが切れない、胸の痛み、皮膚の乾燥、抜け毛、尿量が減るなど。
●対策と食事
乾燥を防ぎ、潤いを保つ。
●食養生
①津液を補い、肺をうるおす:松の実、白ごま、卵、牛乳
②津液をつくり胃を養う:キュウリ、トマト、キクラゲ、ナシ、リンゴ、キウイフルーツ

●季節:冬
●盛んになる外邪:寒邪
●からだの変化
・気・血の停滞
・腎が盛んになる。厳しい寒さが原因で陽気が減る。そのため気・血の流れが滞り、冷えや痛みが生じる。
●起こりやすい症状
悪寒、冷え、胃痛や腹痛、下痢、頭痛、関節痛、足がつるなど。
●対策と食事
からだを温め、気や血を補い、めぐりをよくします。
●食養生
①温・熱性で寒邪をはらう:ショウガ、山椒、唐辛子、ニラ、羊肉
②気・血を補い、体を温める:もち米、長芋、クルミ、栗、鶏肉、鶏レバー、エビ
③気・血をめぐらす:らっきょう、酢、酒

参考文献・引用・2015年・『いちばんわかりやすい漢方基本講座』・成美堂出版

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