免疫 11

〇リンパ球の進化

マクロファージは貪食能を退化させ、一方で接着分子を進化させる歩みをはじめました。マクロファージ時代には、接着分子は炎症部位に固着するためにタンパク質でした。これはまた、異物を認識する分子でもあったので、異物を認識する免疫反応へとつながっていきます。

免疫に使われる接着分子の中には、免疫グロブリンスーパーファミリーがあり、これはアミノ酸薬100個からなる基本構造からなりあるものはこれを2個、4個・・・・と組み合わせて使用しています。

◆リンパ球にある2つの系統

マクロファージからリンパ球への進化の歩みは、2つのラインとして起こっています。一つがNK/T細胞系列であり、もう一つがB細胞系列です。NK/T細胞系列もB細胞系列、消化管を取り巻いたマクロファージから進化したものと予想できます。

NK/T細胞系列の進化の極限にあるT細胞は、標的細胞のMHC(主要組織適合抗原)に入った異物をT細胞レセプター(TCR)で認識し、認識したら細胞内にためておいた分解酵素などをその異物結合自己細胞にふりかけて殺し、速やかにそれを排除するという働きを武器にしたものであります。

もう一方のB細胞は、異物をB細胞の抗原レセプターである免疫グロブリン(Ig)で直接認識し、異物を凝集させてしまうということを武器にしたものです。免疫グロブリンの場合は元の細胞から分泌され、抗体として体液中や血液中を駆け巡る方向に進化しています。

免疫系をつかさどるリンパ球は、マクロファージとは一見似ても似つかないように見えます。しかし、接着分子(TCR)と接着分子(MHC)の間に異物があった場合、T細胞の働きのように異物付着細胞を丸ごと殺すか、あるいはB細胞の働きのように接着分子単独で異物を追いかけるかということです。これはマクロファージの機能を一部退化させ、一部の働きを拡大進化させたものと理解できます。