鍼灸オタクは早死にする 972


身体訓練法

レッスン10-2

〇眼の動きは全身の動きを整える

▽眼は見るだけのものではない

全身の筋肉組織を調整統合するにあたって、眼の果たす重要な役割には注目するべきであります。それは首の筋肉よりもはるかに重要であります。全身のほとんどの部分は、二つの機能を持っています。口は食べることと話すこと、鼻は臭いをかぐことと呼吸をするという具合です。耳(内耳)は聴くという役目の他に、動きの変化に応じてからだの平衡をとる役目を果たしています。同じく、首とともに目の筋肉は、首の筋肉がどのように収縮するかに対し、決定的な影響を与えます。階段の終わりにあるフロアを見ないで、階段を昇降する場合を思い起こしましょう。全身の筋肉を働かせるのに、眼がいかに大きな役割を果たしているかがお分かりになると思います。

▼左右の眼を別々に動かす、一緒に動かす

床に座ります。右脚を曲げて右にやり、左脚を手前に引き寄せます。からだを左にひねり、左手を苦しくない程度にできるだけ左側につき、その上にからだを傾けます。右腕を目の高さに上げ、水平に左の方へ動かします。右手を見つめた後に、頭と眼をまわして、右の手よりも左側の遠くの壁の一点を見つめます。再び右手を見つめて、ついでに壁を、また右手をと、20回くらい動きを繰り返します。この場合、始めの10回は左眼を閉じたまま、右眼だけで右手と壁の間の動きをやり、後の10回は左眼だけで行います。これが終わったら、もう一度両眼を開いたまま動きを行います。左のひねりが大きくなったかを確かめます。驚くほど進歩しているかと思います。

左脚を後ろに曲げ、右足を内に引き寄せ、上記と同じやり方をして右側へのひねりを改善させます。片眼を閉じ、片眼を開いた練習を左右行うことを忘れないようにします。

▼眼を整合すると上体が改善される

休息します。からだのどの部分が床に近づいたかを観察します。それは眼の動きについて意識が高まったから生じたのであります。いずれの時間がたって再び状態が強ばった場合には、それに応じて眼の動きのしなやかさが無くなっているのに気がつくことになります。このように、眼の動きを調整するテクニックを身につければ、上半身全体の動きを改善することが出来ます。

▼右にひねって左を見る

床に座ります。左脚を後ろへ曲げ、右脚を手前に引き寄せます。苦しくない程度に、上体、頭、肩を右へひねります。右手を後ろ寄りの床につき、そちらへ上体を傾けます。ひじを曲げた左手を目の高さに上げ、右へまわします。手を見つめた後、それよりも左側の壁の一点を見つめます。再び手に戻し、これを25回繰り返します。1回ごとに少しずつより左の方が見られるようになります。

片方の眼を閉じて同じ動きを10回行います。他方の眼を閉じてやはり10回行います。片眼を閉じても、頭が静止しているように注意します。両眼を開いて更に5回繰り返します。頭のてっぺんをそっと引っ張り上げられているイメージで行います。終えたら、普通に右にひねってみます。回せる角度が大きくなったか、前より楽になったかを確認します。

▼左へひねって右を見る

床に座ります。右脚を生尻に曲げ、左脚を引き寄せて、上体、頭、肩を左へひねり、左手を床について上体をそちらへ傾けます。右手を目の高さに上げ、左へ曲げます。手とその右側とを交互に見ます。まず片側の眼を閉じて繰り返し、次いで他方の眼を閉じて繰り返します。それから両方の眼を開いて、5回繰り返します。上記と同じように、ひねる動きの質を点検します。あお向けになり、休息します。

▼肩甲骨を右に動かします

床に座ります。左脚を左後ろへ曲げ、右脚をからだの前へ引き寄せます。上体を右にひねります。まず右手を床についてからだを傾け、次いで左手を床につきます。両手の間を少し離します。頭を高く上げ、肩甲骨を右に回して、右肩を右後ろへ、左肩を左前へ動かします。両肩がはっきりこの方向、右肩が後ろ、左肩が前へ動いて、両肩を同じ力がかかるようにしなければいけません。

右肩を右に回すと、習慣として頭と眼も同じく右に回ります。肩を右へ回すときに頭を左の方へ回します。肩を左へ回すときには、頭を右の方へ回します。

胸と呼吸に注意を払いながら、動きが快く感じられるようになるまで、肩と頭を逆方向に回す動きを繰り返します。

▼逆方向の動きと同方向の動きの交代

繰り返し、頭と肩を逆に動かしながら、その途中で動きを中断せずに、同方向の動きを変えます。つまり、肩の左右への動きに頭の動きを一致させます。さらに、その動きを中断させないで、逆方向の動きに戻します。

動きをやめて、ひねり具合と動きの感じが多少とも良くなったかどうかを確認します。あお向けになり、背中と床の接触状態を点検します。

▼肩甲骨を左へ回す動き

床に座ります。両足を右へ移し、逆のやり方で今までの練習を一通り行います。今と同じく、頭と肩を同方向と逆方向に交互に動かします。ときどき注意し、上手にやろうとする気持ちを捨てるように努めます。