鍼灸オタクは早死にする 976

身体訓練法

レッスン10-3

〇眼の動きは全身の動きを整える

▽努力をいっぱいしても行動がよくなるわけではない

動きのたびごとに自分の能力ギリギリまでやろうとすると、筋肉を痛め、関節を強ばらせることになるのがオチであります。外に現われる結果だけを求めて頑張りますと、動きと行動の習慣的パターンを打ち壊すという、今までのレッスンの目的を通してこそ初めて獲得できる改善を、ほんの一部でも実現する可能性さえ失うことになります。全身の様々な部分の動きと、それらの相互関係に対する識別力が高まりさえすれば、その結果は自ずとトーヌス(不随意的中枢によって引き起こされる筋収縮の度合い)が低下し、意識的コントロールの力が紛れもなく増大するのであります。

紋切り型からときどき自分自身を引き離し、自分が現に行っているつもりのことを本当に行っているかどうか自らに問わないといけません。たいていの人は努力感を味わっていますし、肩を動かそうとしているので、当然のことながら床との関係でも全身との関係でも、自分の肩は動いているはずだと勘違いしているものです。

筋肉の活動を全て動きに転化しなければいけません。筋肉活動は完全に動きに転化された場合、能力を向上させ、からだを改善させるのであります。動きにならないで収縮やこわばりを引き起こす筋肉活動は、エネルギーの損失をもたらすばかりではなく、エネルギーの損失の結果、体の構造に障害を引き起こすような状態を生み出します。

▼上体をひねって、頭を左右に曲げる

床に座ります。左脚を左後ろへ曲げ、右脚をからだの前に引き寄せます。上体を右にひねり、右手を床につけます。右へのひねりを少し大きくし、右手をさらに右に移し、かすかな痛みが感じられる程度にします。左手を頭のてっぺんにのせ、その手を使って頭を左右に、すなわち、耳が右肩に近づき、次いで左耳が左肩に近づくように曲げます。頭をまわすのではなく曲げます。右耳が右肩に近づくときも左耳が左肩に近づくときも、鼻先は常に最初の方向を指しています。

次に右脚を右後ろに曲げ、左脚をからだの前に引き寄せます。上体を左にひねり、左手を床につきます。右手を頭のてっぺんにのせ、頭を左右に曲げる動きを繰り返します。背骨の動きの助けを借りますと、頭を一層左右に曲げやすくなります。背骨は頭が右に行くときに左に曲げ、逆のときは反対に曲げます。

▼座ったまま上体を左右にまわす動き

床に座り、両足を右に移します。上体を軽い動きで左右に振りまわし、動きの幅をしだいに大きくします。両腕はこのレッスンをはじめ、立ったままの姿勢で行ったときと同じように、上体の動きによって導かれるにまかせます。

数回繰り返したら、頭と眼の動きを胴と腕の動きと逆のします。つまり、胴が右にまわるときに頭と眼は左へ、逆のときは反対にします。動きを中断せずに、再び頭と胴の動きを一致させて、次いで逆にします。

以上のように交替させながら動きを繰り返し、一方から他方へ変化させるのが滑らかで楽にできるようになるまで続けます。それぞれを計25回ずつ繰り返してから休息します。

反対側、つまり両脚を左側に移して座り、同じ練習を繰り返します。あお向けになって休息します。

座り直して、このレッスンの最初と比べ、ひねる動きが質量ともにどれだけ変化したかを観察します。

▼立った姿勢で左右のかかとを交互に浮かせて上体をひねる

立ち上がります。両足を腰幅くらいに開き、両腕と上体を左右にまわし、頭を上体と一緒に動かします。右へまわしたとき、左のかかとを浮かし、左へ回したとき、右かかとを浮かします。腕には力を入れないように注意し、往復20~30回くらい繰り返します。

頭の動きが滑らかで快くなったら、頭の動きだけで逆にします。胴の動きとは逆方向に頭をまわし、これが滑らかに楽にできるようになるまで続けます。方向をもとに戻し、頭と肩の動きを一致させます。頭の方向を変えるとき、胴の動きを妨げてはいけません。

歩き回り、直立姿勢、動き方、呼吸方法に生じた変化をよく観察します。