乳頭がかゆい(乳がん)

乳頭は、下着による刺激や不潔にしていることで、かゆみやただれが起こることがあります。

しかし、明確な原因がないのに、乳頭がかゆくなったり、血の混じった乳汁のようなものが出たり、下着に血が付いたりすれば、乳がん、正確には乳管がんの可能性があります。

一口に乳がんといっても、がんができる場所によって呼び方が異なります。乳房内の枝のようにはりめぐらされている乳管にがんができるのが乳管がん、乳管からリンゴのようにぶら下がっている小葉という場所にできるのが小葉がんで、乳がんの9割以上が乳管がんです。どちらの場合も、がん細胞が乳管、小葉の中にとどまっているうちに手術すれば、ほぼ100%治すことができます。しかし、がんが進行し、外に浸潤していくと、途端に状況は悪くなります。乳がんはいかに早期で発見できるかが大切になります。

ただし、乳がんには初期症状がほとんどありません。唯一、早期で判断できるサインの一つがしこりです。乳がんのしこりの特徴に、デコボコして硬く、動かないことが挙げられます。特に、小葉がんの場合手で触るだけでコリコリした動かないしこりがあるのでわかりやすいです。乳がんの発生部位は乳房の上部が約7割を占めます。特に脇側の上部に発生しやすいので、定期的に触診してください。

触診はあおむけで寝て行うと分かりやすいといわれています。乳房の外側の場合、反対の手の人差し指から薬指を使って、指の腹でなでるように触り、しこりの有無を確認します。また、腕の上げ下げをしますと、しこりによって胸の皮膚引きつれてくぼむことがあります。鏡で確認します。

乳管がんの一部では、乳管に沿って枝のようにがん細胞が増殖することでしこりが出ないこともあります。そのため、マンモグラフィーやエコーで発見されないこともあります。その場合、乳管は乳頭とつながっているので、乳頭から血が出たり、乳頭がただれてかゆくなったりという症状が出ます。触診の際には、乳頭をつまんで異常な分泌物が出ないかもチェックをします。

乳がんは遺伝的要因がかなり大きく、また女性ホルモンに反応してできるがんなので、生理の生涯回数が多い人がなりやすい傾向にあります。初潮年齢が早い人や出産経験のない人は特に注意が必要です。さらに、ピルや更年期のホルモン補充の処方を受けている人も、ホルモン剤の影響で乳がんのリスクが高まるといわれますので、該当の人は、気を配るようにしましょう。

ちなみに、男性にも乳がんはあります。女性に比べると発生率は格段に低いですが、発見が遅れることが多く、予後が悪いケースが目立ちます。しこりや血の混じった乳汁が出るといった症状が出た場合、男性だからといって見過ごさず、診察に行きましょう。

〇何科に行くべき?

婦人科/乳腺科/乳腺外科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社