頻繁にトイレに行くがおしっこが少量しか出ない(膀胱がん)

一日に何回トイレに行くかは人それぞれで違います。平均的な成人では、1日6~8回ですが、健康である人でも1日2回という人もいます。

しかし、中には頻繁にトイレに行きたくなるが、尿が少ししか出ないという人がいます。この頻尿だけどあまり尿が出ないは、膀胱のトラブルのサインです。

原因として多いのは膀胱炎です。尿路から上がってきた細菌で感染して起こる膀胱炎は、頻尿のほかに、排尿時痛や血尿などの症状があります。細菌性の炎症なので抗生物質がよく効きます。

ただし、同じような症状で膀胱がんの可能性も考えられます。膀胱に腫瘍ができてスペースが狭くなり、尿が溜められなくなった場合です。また、膀胱の壁に沿ってがんが広がり、膀胱が硬くなって伸びなくなり、尿を溜められなくなって頻尿になっている場合もあります。

頻尿が気になる人は、自分の尿が1回あたりどれくらい出ているか調べてみるといいでしょう。尿は、10秒でおよそ100~200cc出ます。成人の一度の排尿量はおよそ200~400ccなので、一度に10秒以上の尿が出る場合は問題がない可能性が高くなります。2~3秒で止まり、それを日中何度も繰り返す場合は、膀胱がんを疑います。

膀胱がんになる原因は、膀胱が体中の老廃物を集めて尿として排出することに関係しています。つまり膀胱は、言ってみればゴミ集積所であります。その中に発がん性物質が含まれていたら、溜まっている間に悪影響を及ぼします。例えば、インクや染め物などの染料は発がん性の高い化学物質です。染料を知らないうちに体内に取り込むと、体は必死に体外へと尿として捨てようとします。その過程で排出できず、膀胱にたまった発がん性物質は、がんを引き起こすことになります。

膀胱がんの症状は、頻尿のほかに、血尿や排尿時痛など、膀胱炎に非常に似ています。ただし、膀胱炎の尿は、たいてい白っぽく濁ります。炎症で白血球が増え、膿が出るので白く濁って見えます。においも、卵の白身のような生臭いにおいがします。

膀胱がんの中には進行が早いものもあります。症状がありましたら念のために診察を受けたほうがいいでしょう。その際は、上手に診察を受けるコツは、尿を溜めた状態で検査に行くことです。超音波やCT検査の際、膀胱がぺったんこだと異常が分かりにくいからです。もし、「採尿してください」といわれたら、「超音波やCT検査があるかと思って、おしっこを我慢してきた」と伝えれば、効率の良い順番で検査をしてもらえるでしょう。

〇何科に行くべき?

内科/泌尿器科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社