手が震えて字が上手く書けない(パーキンソン病)

60歳以上で、手が震えて字か上手く書けない、コップをカチカチさせてちゃんと持てない人は、パーキンソン病の疑いがあります。パーキンソン病は、脳と筋肉を結ぶ神経の伝達がうまくいかなくなる病気です。

脳は、神経を使って足を動かせといった命令を筋肉に伝えます。一方、筋肉も足を動かしていますよという状況を脳に伝えます。脳と筋肉の間で、神経を介して情報が行き来し、もう少し前、もう少し横などと微調整をしながら、歩いたり、物を持ったりします。

脳梗塞や脊椎損傷のように、神経が死んでしまったら、まったく情報が伝わらず、手足がピクリとも動きません。パーキンソン病は、情報は伝わるのですが、微調整することができなくなるため、スムーズな動きができなくなります。

パーキンソン病の特徴的な症状としては、小歩症というちょこちょこと小さい歩き方です。そして、歩き始めの第一歩が出づらくなります。足を出すための筋肉の動き方などの細かい微調整に、ものすごく時間を費やすためです。歩き始めると、今度はすぐに止まれなくなります。信号で、もうすぐ赤になるのに、横断歩道の真ん中をちょこちょこ歩いている高齢者がいたら、おそらくその人はパーキンソン病が疑われます。

パーキンソン病の原因は、遺伝的要素以外はよく分かっていません。ただ、中脳の黒質という場所がダメージを受けていることは分かっていますので、その場所にiPS細胞を注入したら治るのではないか、という研究は進んでいます。

現在の治療法は、ドーパミンを増やして伝達をスムーズにする薬で対処したり、リハビリによって筋力の低下を抑えたりする程度で、完治させるには至っていないようです。

それでもやはり、パーキンソン病は早期発見が重要です。放っておきますと寝たきりになりますので、なるべく早くに気づいて進行を遅らせるために、早期の治療とリハビリを始められるようにします。

〇何科に行くべき?

神経内科

参考文献・引用・2020年・『放っておくとこわい症状大全』・ダイヤモンド社