痛風

痛風は昔から“帝王の病気”と呼ばれてきました。確かに通風にかかる人の大半は美食家や大酒飲みで、体型も肥満型の人に多いようです。

痛風の原因は、細胞の核酸の成分が最終的に変化して尿酸となり、尿酸を腎臓から排泄される能力が低下して、血液や関節液(滑液)の中にたまり、結晶となって関節などに沈着して、痛みだすのが痛風です。その痛みは、突然に主に足の親指のつけ根あたりに表われ、赤く腫れ、激しい痛みに襲われます。足首やひじの関節が痛むことがあります。その痛さは、他の関節炎の痛みとは比べものになりません。

痛風の痛みは1週間くらいで自然におさまりますが、最初の発作がおさまって、半年から1年くらいたつと、再び激しい痛みに襲われることになります。患部は同じ部位であることが多いです。この小康と発作の間隔は次第に短くなり、急性症状から慢性症状へと変わります。痛風は99%以上男性に起こり、現在は生活習慣病の一つとして問題視されています。

痛風の発作が起こったときの応急処置は、痛みのある関節の充血や腫れを軽減するために、その部分を高くして冷やします。消炎鎮痛剤の使用にあたっては副作用も強いので、専門医の指示を仰いでください。

痛風は慢性化すると、腎臓や心臓の疾患の原因にもなりますので、早期治療が必要であります。

ツボ治療は、瞬時には痛みをとることはできませんが、激痛をやわらげ、予防効果も大きく、次回の発作を起こしにくくするのに役に立ちます。

ー鍼灸治療編

◆主要なツボ

背中 「筋縮」、「肝兪」、「三焦兪」、「腎兪
腹部 「中脘」、「期門」、「肓兪」、「天枢」、「大巨
足  「足三里」、「陰陵泉」、「太衝」、「大敦」、「隠白」、「太谿」、「築賓

などがポイントになります。

◆治療法

まず背中の、「筋縮」、「肝兪」、「三焦兪」、「腎兪」などを目的にします。これらのツボを活用することによって、痛風の原因であるタンパク質の代謝障害に関係する肝臓や腎臓の機能を整えます。肝の臓を整えるのは「肝兪」であり、「肝兪」を刺激しますと、肝臓の機能が正常になり、肥満の原因である筋肉への脂肪蓄積が抑えられ、やせることにもつながります。また「腎兪」は、高尿酸症が腎臓の機能に影響を与えているときに、効果を示すツボになります。さらに「三焦兪」は、体の調子を整え、「筋縮」は痛風の痛みを軽減するのに大きな役割を果たします。

腹部では、「中脘」、「期門」、「肓兪」、「天枢」、「大巨」などのツボをとります。これらのツボは、やはり、肝・腎の機能を整えながら、痛風が胃腸の機能と関係が深いことより、消化・吸収をよくする狙いで用います。

加えて痛風の治療は、足のツボを処置することがきわめて重要なポイントになります。上述の足のツボを処置しますが、痛む足のツボを念入りに行います。「足三里」、「陰陵泉」などは、胃腸の働きを整え、活力をつけるツボでありますが、特に「陰陵泉」は脾経の経絡上にあるため、脾の臓の働きがよくなって、血液中の異物や細菌をやっつける免疫の働きも高まり、痛風による痛みも軽減させます。

「大敦」、「太衝」は肝経にあり、肝臓の機能を正し、「隠白」、「太谿」、「築賓」は痛風の痛みを抑え、また予防になります。ひじや手首が痛む場合は、「曲池」や「陽池」を治療すると良いでしょう。

痛風は、指圧やマッサージでツボ刺激を行っても効果はありますが、灸治療が一番効きます。各々のツボに、米粒大のもぐさを3~5壮、1週間続け、3日休むペースで治療を行います。鍼治療もよく効きます。